セレクトショップ「アマノジャク」ディレクターが語る“良いブランド”の定義
2年で年商2億円増、アマノジャクが事業拡大の先に目指すものとは?
ー売上も伸びていると聞いています。直近の業績について教えてください。 オープン時から業績は右肩上がりで、2023年の年商は3億円。2021年に千駄木店をオープンした時は年商1億円だったので、有難いことに2年間で約3倍に伸ばすことができました。 ー2年間で年商3倍は凄いですね。好調の要因は? 客数が増えているということもありますが、それ以上に客単価が伸びているのが好調の要因ですね。千駄木店オープン時(2021年)は客単価が約5万円だったんですが、2023年では約10万円まで伸長しています。初見でいきなり10万円、20万円を使ってくれる人は中々いないですが、これまで購入してくれたアイテムから購買傾向を分析してアイテム提案を行うなど、お客さんとの信頼関係を築いてきたことが実を結んできたという実感があります。 ー2024年度の売上目標を教えてください。 具体的には設定していないですね。2023年より増やしたいというのはありますけど、オープンしてからここまで駆け足で階段を駆け上がってきた感じだったので、一度ここらで立ち止まって自分たちの足元を見直してもいいのかなと。スタッフも増えてきたので、一度「店」ではなく「人」を育てるフェーズに移行しようかと考えています。オープン時からそうですが、アマノジャクの一番の武器は「人材」。ここを盤石にすれば、自ずと店としての次のステップも見えてくると思います。 ー次のステップというと、3号店のオープンとか? いえ、まだそこまで具体的な構想はないです。ただ、3号店を出店するとしたらこれまでの北千住、千駄木と同じく、ファッションの中心地ではないロケーションで出したいかな。 ー抽象的な質問にはなりますが、最後にアマノジャクが事業拡大の先に目指すものについて教えてください。 烏滸がましいかもしれませんが、ハイファッションの復権に一役買うことですかね。昨今、コンビニが服を出してヒットしていることなどからも分かるように、服を日用品として消費する向きが非常に強まっていると感じていて、これは寂しいことだなと。ファッションって、人類が繁栄する中で成長させてきた文化の1つじゃないですか。売れる売れない、着心地云々といった視点ももちろん大事ですけど、そこだけじゃなくて着た人の気分を高揚させる力がハイファッションにはある。それらがもっと求められる時代になっていってほしいし、デザイナーが服一着に注ぎ込んだメッセージを僕らなりに咀嚼して、世間に発信し続けることでそんな時代に近づけられると信じています。そして結果的にファッション業界で働きたいと考える若い世代が増えて、ファッションがますます盛り上がる。そんな好循環を作り出せたら最高です。 (聞き手:村田太一)