「自分はナンバーワンじゃない」北海道出身の“規格外候補生”、謙虚に「完璧」追い求めた養成所生活/未来の競輪スター候補
自分に対して「もっといいレースしろよ」って感情をプロになるまで忘れない
ーー養成所生活の中で印象に残った言葉や考え方に出会うことはありましたか。 中石 教官に「悔いなく走れ」みたいな意味の言葉をたくさんもらいました。訓練でいただいた「自分の走りをしろ」という言葉は印象が強いです。 ーー「養成所時代の思い出」を挙げるとしたら、どんなエピソードが思い浮かびますか? 中石 昨年末は冬帰省がなかったんですが、30日に全候補生で教室に集まり「KEIRINグランプリ2023」をテレビ観戦したんです。教官の協力のもと、各自やっていることを一旦切り上げて、みんなで同じ場所で観ることができました。これが新鮮な雰囲気で思い出に残っています。 ーーレースを観て盛り上がりましたか? 中石 はい、とても盛り上がりました。レース前には「こういう展開ならこの選手にチャンスがある」とか「こういう展開ならこの選手は苦しいかもしれない」とか意見を言い合いながら観ました。それが面白かったです。 ーー明日の卒業式を終えると、いよいよプロデビューに向けて動き出します。いま抱えている期待と不安の割合はどれくらいでしょうか? 中石 たしかに期待もプレッシャーも感じますが、デビューを楽しみにしています。不安という表現ではないのですが、卒業記念レースを終え、自分に対して課題を見つけています。卒業記念レースは応援してくれる人が多く、本番同様の環境でした。そんな中で自分はいつも通りのちょうどいい緊張感で走れず、筋肉まで緊張してしまったんですよね。この課題は克服したいです。 ーーなるほど。 中石 もっと力をつけないと、と思います。自分に対して「もっといいレースしろよ」って思います。この感情はプロになるまで忘れないと思いますし、気持ちを力に変えて挑みたいです。 ーーこれからデビューするまでに特別強化したいポイントは? 中石 今回、卒業記念レースで本番同様の環境で走って気づいたことがたくさんありました。プロになれば何度も開催があってそれがずっと続いていくので、どんな状況でも、安定した先行力だったりダッシュ力だったり、パフォーマンスの安定性が求められると思いました。そこをより意識したいです。 ーー「パフォーマンスの安定性」ですか。 中石 はい。今回の卒業記念レースの前、練習していても自分の感触が良い感じでは終われていなかったんです。やっぱり自信をつけるのは練習です。「絶対に強くなれる練習」を自分で考えてメニューを組んで、それを積み重ねて、自信をつけてレース本番に臨みたいです。練習の段階から自信をつけることが本番での安定性に繋がると思っています。