佐々木朗希、空前の“逆指名ドラフト”…メジャー側はどれだけ「お買い得」か、佐々木が重視するカネ以外の条件とは
■ メジャー側はどれほど「お買い得」なのか 各球団が獲得に使える資金(国際ボーナスプール)は12月15日にリセットされ、来年1月15日からは新シーズンで各球団が定められた資金を使うことが可能となる。そのため、獲得を狙う球団は少しでも資金を多く捻出しようと、来年1月15日以降の契約締結を目指す。 ただし、この場合でも、契約金は500万~755万ドル(約7億5000万円~11億3400万円)となる。昨季にオリックスからドジャースへ12年総額3億2500万ドル(当時のレートで約465億円)で移籍した山本由伸投手の場合、総額のうち5000万ドル(同約71億円)が契約金だったことと比較すれば、移籍市場の目玉投手の条件としては、メジャー球団がいかに割安だと踏んでいるかが想像できる。 年俸面でも、移籍1年目からメジャーに昇格可能だが、マイナーから昇格した段階でメジャーの最低保障の74万ドル(約1億1000万円)となる可能性が高い。実働3年までは年俸調停権も得られないため、低く抑えられそうだ。このことが、争奪戦に参入できるハードルを低くしている。 佐々木投手からすれば、自らの野球人生のターニングポイントをどの球団で歩み出すかを、金銭面以外の条件から見極めることにもなる。20球団以上から移籍先を選べる状況が、ウルフ氏が「逆ドラフト」と評した理由といえる。
■ ドジャースが大本命? 報道によれば、佐々木投手は渡米し、ロサンゼルス近郊に滞在してトレーニングを続けながら、クリスマス前までに獲得を希望する球団と面談することが明らかになった。その後に一時帰国し、年明けに再渡米した後に球団を絞って入団先を決める予定だという。 移籍を巡る報道も日米で過熱し、連日のように詳報が伝えられる。移籍先の有力候補に挙げられるのは、ポスティングの表明前から大本命と報じられてきたドジャース、同じく温暖な気候の西海岸に位置するパドレスに加え、マリナーズ、ヤンキース、カブス、レイズ、ツインズなども獲得に乗り出すと報じられる。 日本時間13日には、今オフの移籍市場の最大の目玉とされたホアン・ソト選手(ヤンキースからFA)とプロスポーツ史上最高額となる15年総額7億6500万ドル(約1170億円)で契約したメッツも、ウルフ氏に対して佐々木投手の獲得に向けたプレゼンテーションを行ったことが報道された。 大谷翔平選手や山本投手がいてワールドシリーズ覇者のドジャース、ダルビッシュ有投手や松井裕樹投手がプレーする同じくナ・リーグ西地区のパドレスが、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でともにプレーした日本選手が在籍し、気候的にも適している点から優位とみられてきた。 だが、中日スポーツによれば、ウルフ氏は日米などのメディアに対して、「地理的な嗜好は話になっていない」「彼(佐々木投手)はMLBをよくみているし、チームの成功について注目している。WBCのチームメートの活躍を観察してきたし、天候や快適さ、投手の育成などもみている」と語ったという。