伊藤かずえ「愛車・シーマは動くアルバムのような存在」30年愛し続ける理由とは
――2021年にシーマをレストアされましたが、どのようなきっかけがあったんですか。 伊藤かずえ: いつも修理に出しているディーラーのスタッフさんが、30年目に「おめでとうございます。こんなに乗り続けてすごいですね」ってお花をくれて。かわいらしいお花だったので、シーマのボンネットに乗せて写真を撮ってブログに載せたんです。そしたら、日産のホームページに「こんなに長く乗っているんだったらレストアしてあげたら」って、声がたくさん届いたらしくて。それがきっかけで日産が動いてくれました。昔だったら多分かなわなかったと思いますけど、SNSと皆さんのおかげでかなえていただきました。 レストアでは、ホイールも新しく作ってくれて、フロントグリルも新品になって、シートも全部張り替えてくれました。もう当時の表皮がなくて「革シートにしますか」って聞かれたんですけど、革のにおいが苦手なので「普通のもので大丈夫です」って言ったら、同じような柄をプリントして作ってくださって。シートを張り替える作業に4カ月かかったそうです。 ――レストア後の反響はいかがでしたか。 伊藤かずえ: コンビニとかで駐車していると見にくる人がたくさんいます。「写真撮らせてください」とか「車を見れて良かった」と声をかけてくれる人もいますね。見たいという方には、エンジンルームを見せてあげることもあります。私の力だけではレストアはできなかったので、なるべく多くの人に見ていただきたいなと思っています。 レストア後、銀座にあるNISSAN CROSSINGというショールームに2週間飾らせてもらったんですけど、本物を見たいという人が、わざわざ遠くから来てくださいました。「青森から来ました」とか「九州から来ました」とか「4時間見てました!」とか、すごい人気でしたね。
いつか訪れるドライバー最後のときもシーマに乗っていたい
――近年、若者の車離れが進んでいると言われていますが、伊藤さんは車に乗る楽しさをどう感じていますか。 伊藤かずえ: 鉄道網が隅々まで行き渡っていて便利になっていますし、運転をしなければ事故を起こすこともないので、車がいらないという人は乗らなくて良いと思います。でも、運転する楽しさとかは、運転しないとやっぱりわからないですよね。 日常生活以外にも「ちょっと海が見たいな」っていうときは、車だと1時間くらいで海を見に行けちゃいますし、私にとっては車の中で一人になれる自由な時間も大切です。ロケ現場に車で行っていたときは、台本を膝の上に乗せて、信号待ちでちょっと見て、走りながらセリフをしゃべって覚えたりもしていました。一人だからすごく集中できるんです。 ――歳を重ねても愛車に乗り続けるために、日頃から心がけていることを教えてください。 伊藤かずえ: いまは、長距離の運転はあまりしないようにしていて、1時間かかると思ったら公共交通機関で移動するようにしています。運転って結構いろんな神経を使うので、意外と疲れたりするんですよね。途中でシーマが故障しても嫌なので、最近は電車やバス移動が多くなりました。でも、シーマは相棒として、ずっと乗り続けようと思っています。レストアしてからはさらに大事に乗ろうと思うようになりました。