『虎に翼』脚本・吉田恵里香に聞く。あらゆる立場の女性を描くこと、憲法第14条への思い 「寅子だけが正しいわけではない」
吉田恵里香さんが考える「幸せ」とは
―『虎の翼』の脚本を書き終えて、最終回を前に、いまの気持ちは? 吉田:後半の脚本を執筆しているときから、もう終わってしまう、終わらないでほしいという気持ちがすごくありましたが、役者さんやスタッフさん含め、とても恵まれた現場のおかげで楽しく書けました。 でも、あともう1クールぐらいあってもよかったなとも思っています。出し切ってすごく満足しているんですが、やれなかったことやもっと深掘りしたかった人もいたという気持ちもあります。 ―もっと掘り下げられるとしたら、どんなキャラクターを描きたいですか。 吉田:それこそ轟や優未、航一、涼子さまとか、描くことができなかったエピソードがやっぱりいっぱいあるんです。最終回の満足度はもちろんあって、これが『とらつば』らしいと思っているんですが、あの人はいまどうしているのか、とか……もうちょっと織り込めたらと思いました。 女子部時代も、あれはあれで美しいと思っているんですが、入れたかったエピソードもたくさんあります。いつか回想で入れられるかなとか、甘い考えをしていたんですけれど(笑)、構成上難しく、できなかったこともたくさんあるなと思います。 ―『虎に翼』を見ていると、人の幸せを考えるとき、人権や仕事、家庭の問題がどれも切っても切り離せないものだなと感じています。吉田さんがいま思う幸せとは何か、最後に聞かせてください。 吉田:傷ついている人がいても、自分ではどうにもできないことが多いじゃないですか。自分でどうにかできないことがなくなっていくといいなと思います。少なくとも、みんながある一定の同じスタートラインになれたら幸せだなと思っています。 ネット上だけではなくて、戦争も含めて、争いが一個一個しらみつぶしになくなっていけばいいなと思います。一つでも和解したり、争いの種が消えたりすると幸せを感じます。
インタビュー・テキスト by 生田綾