傷を治す「人工タンパク質」が買える時代に!? 京都大学の革新的な開発に期待高まる
京都大学らの研究グループは、「慢性創傷の治療を目的に開発した“人工タンパク質”による治療材料を、2025年度中に販売することを目指す」と発表しました。この内容について松澤医師に伺いました。 【イラスト解説】傷跡が残りにくい画期的な治療法「リストカット」の悩みにも [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
研究グループが発表した内容とは?
編集部: 京都大学らの研究グループが発表した内容を教えてください。 松澤先生: 京都大学医学部附属病院と三洋化成工業は、慢性創傷治療のための新規治療材料の開発に取り組んでいます。この新規治療材料は人工タンパク質「シルクエラスチン」で作られており、感染しやすい慢性創傷に対して、動物実験などでの有効性と、京都大学医学部附属病院で実施した医師主導治験での安全性が確認されていました。 この医師主導治験の結果を受けた研究グループは、三洋化成工業が中心となり、国内5つの医療機関で2021年7月~2023年5月まで企業治験を実施しました。対象となったのは、標準治療ではあまり効果が期待できない難治性の皮膚欠損創がある患者で、慢性創傷20例、急性創傷5例が選ばれました。治験の結果、25例中23例で治療効果が認められ、安全性についても確認されました。 研究グループは、2024年7月1日に開かれた会見で「シルクエラスチンは、組織全体の再生を促すものになっています。そのため、今までの考え方である『菌を抑える』『バイ菌を殺して傷を綺麗にして治す』『血流を良くする』というものではなく、組織の再生を促しているということになります」と、今回の新規治療材料に用いられたシルクエラスチンについて説明をしました。さらに、「『お湯がかかりました』『服に火がつきました』といったやけどのケースで、傷の浅いところ、深いところ、どちらもシルクエラスチンが使えると思っています」と、活用方法の具体的なイメージも紹介していました。