「ヒマラヤに登ってみたい」そこから始まったヒマラヤ登山|日本山岳会ヒマラヤキャンプ登山隊2023撮影記#01
山に登るようになって意識しだした、憧れの山
「ヒマラヤの山に登ってみたい」。 登山をしていれば一度はそんなことを思うのではないだろうか。実際にヒマラヤに行くかは別として、どんな山に登りたいかと聞かれたときに、いつかヒマラヤに行ってみたいという人は多いように思う。いうは易しで私もそのひとりだ。でも、ヒマラヤへの入り口は決して見つけやすいものではなかった。ましてや、社会人になってしばらくしてから登山を始めた私のような者は、周りに経験者すらほとんどいないのだ。そんな、なんだかとっつきにくい場所がヒマラヤだった。 でも、どこか頭の片隅で行ってみたいと思っていた憧れの場所のひとつでもあった。見たことのない景色を見たい、自分にとっての未知の世界が広がる場所に身を置きたい。ヒマラヤには、きっとそれらが満ち満ちている。そう思うとヒマラヤがきらきらと輝いて見えるのだ。 ただ、「行きたい」と「行く」は違う。どれだけ行きたいと思っていても、行くという行動に移さない限り、 そこに行くことはできない。決断をするのに時間がかかる私は「行きたい」のまま、数年をすごしていた。
「ヒマラヤキャンプ」への所属で、手の届く存在となったヒマラヤ
それが急に動き出したのは2019年の9月だ。偶然にもヒマラヤキャンプという取り組みを知った。しかも、たまたまその年は新規メンバーを募集していたのだ。 ヒマラヤキャンプは、若手登山家の育成を目的とし、実現目標として、 この3つを掲げている。とっつきにくく遠い存在に感じていたヒマラヤ登山が、急に手が届くところにやってきた、そんな気がした。とはいえ、当時の私に十分な技術、経験があったかというと、正直なところまったくなかった。雪山は始めてからまだ3年ほどだったと思う。前職を退職する2018年までは、週末登山がほとんどだったため、日数も決して多いとはいえない。 それでも、このチャンスがそのままとおりすぎてしまうのには耐えられなくて、ヒマラヤキャンプに入りたいとメールを送った。当時のヒマラヤキャンプは、積極的に新たなメンバーを受け入れることに力を入れており、幸いにも私はヒマラヤキャンプに所属することができた。