「ヒマラヤに登ってみたい」そこから始まったヒマラヤ登山|日本山岳会ヒマラヤキャンプ登山隊2023撮影記#01
コロナ禍による遠征中止
ヒマラヤキャンプに所属したからといってすぐに遠征に行くことができるわけではない。新たなメンバーを迎えたヒマラヤキャンプでは、さっそく2020年春にヒマラヤに向かうメンバーの選考が始まった。選考では、基本的な体力やロープワークの確認が行なわれた。私もメンバーになることを希望し選考を受け、選考の結果、私は無事に2020年隊に入ることができた。 その後、翌春に向けトレーニングを行なっていった。しかし、出発を間近に控え準備も佳境に入ったころ、コロナウイルスが猛威を振るったのだ。それまでの準備も虚しく、フライトが強制的にキャンセルとなり渡航不能に陥った。 一瞬にして遠征は白紙となった。一度は、手が届くところまでやってきたヒマラヤ登山は目の前で閉ざされてしまった。そこからは、コロナ禍や仕事の状況の変化もあり、ヒマラヤに向かえずにただただ時間だけがすぎていった。ヒマラヤは基本的に長期の遠征になるため、家庭や仕事、金銭面など多くを調整しないと行くことができない。それもヒマラヤ登山を難しく感じさせる要因のひとつなのかもしれない。
4年越しの再スタート。2023年登山隊への参加
あっという間に時間がすぎていき、私がようやく行ける状況になったのが、2023年のヒマラヤキャンプ登山隊だった。2019年にスタートラインに立ち、4年経ってようやく一歩を踏み出すことになったのだ。その間に、メンバーの入れ替わりもあった。2020年にいっしょに行く予定だったメンバーの一部は2022年にヒマラヤへ向かった。また、ヒマラヤ以外の登山に目標を変えた人もいる。 私が入った2023年の登山隊は、登山家でありヒマラヤキャンプのプロジェクトリーダーでもある花谷泰広さんと、2018年から在籍している寺田サキ、私と同じ2019年から在籍している金子貴裕の4名となった。基本的には花谷さん以外の3人が主体となって未踏峰登頂に向けて準備を進めていく。今回は3名全員が初めてのヒマラヤ登山だ。また今回、私はメンバーとしてだけでなくカメラマンとしても参加させてもらっている。私が、ヒマラヤという場所でなにを見て、なにに感動したのか、それらをカメラをとおして表現することで、これまでヒマラヤを訪れたことがない人たちにもその感動を伝えていきたい。 編集◉PEAKS/文・写真◉石川貴大
PEAKS編集部