BHP、7.7兆円のアングロ買収計画を断念-交渉期限延長拒否で
(ブルームバーグ): オーストラリアの資源・鉱業会社BHPグループは、英同業のアングロ・アメリカンに対して29日の期限まで確固とした買収案を提示しないことにした。実現していれば鉱業業界で10数年ぶりの規模になるはずだった大型買収から、当面は撤退する。
ロンドン時間29日午後5時(日本時間30日午前1時)の買収交渉期限まで1時間を切った時点で、BHPはアングロ取締役会の支持を得ることができていないため、買収を進めないと確認した。この結果、BHPは少なくとも6カ月の間、買収に向けたアプローチをすることができない。
この決定で、5週間にわたった鉱業大手2社による買収劇は突然の終わりを迎えた。企業を部分的に分割した上で、490億ドル(約7兆7000億円)で買収するというBHPの提案を繰り返し拒否していたアングロは、先週になって交渉を継続するため英当局が定める期限を1週間延長することに合意。だが、アングロはBHPの複雑な買収構造を受け入れることができず、交渉期限を「さらに延長する根拠はないと取締役会は全会一致で結論づけた」と29日発表していた。
BHPは29日、南アフリカ共和国での買収承認取得を後押しすると確約、買収に伴うリスクは管理可能だと主張してアングロに提案の受け入れを土壇場で迫ったが、アングロは最大の懸念がまだ対処されていないとの認識を示した。
アングロは「提案された構造に付随する不釣り合いに大きな執行リスク、最終的にアングロ株主にもたらされることになる価値に関連して、BHPは取締役会の根本的な懸念に対処していない」と説明した。
29日のロンドン市場でアングロの株価は一時7.6%安まで売られたが、その後下げを縮小し、3.1%安で引けた。
BHPによる買収が成功していれば、競合企業を寄せ付けない巨大鉱業企業が誕生するはずだった。とりわけ長期にわたる供給逼迫(ひっぱく)と価格上昇が見込まれる銅の生産は大きく増加することが見込まれていた。