冬の味覚ズワイガニ漁解禁、福井県「越前がに」の実力をみる
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冬の味覚の王様と言えば、何と言っても「ズワイガニ」だろう。ふっくらと茹であがったカニの身の旨味と甘さと言ったら。暖房のきいた部屋で日本酒やビールと合わせていただくと、さらに満たされた気分になる。そのズワイガニ漁が11月6日に解禁され、いよいよ市場に出回り始めた。さすがに高価な食材だが、一生に一度は本物を味わいたい。
カニ足のタグはブランドの証
一言で「ズワイガニ」と言っても産地によって呼び名が違う。通販などで単に「ズワイガニ」と呼ばれている商品は、ロシア産やカナダ産であることが多い。一方、日本海で獲れた上級品の足にはブランドタグが付いていて、それぞれ島根県などの「松葉ガニ」は白、兵庫県の「津居山がに」は青、京都府の「間人(たいざ)ガニ」は緑といった具合に色が決まっている。 なかでも福井県の「越前がに」は黄色のタグが目印で、タグによるブランド化は福井県が初めて採用した。同じ黄色のタグでも、水揚げされた漁港名、北から三国港、越前港、敦賀港、小浜港と4種類ある。越前海岸で水揚げされた「越前がに」は最高級品として位置づけらることが多く、極上のカニは、明治42年から毎年、皇室に献上されているほどだ。
越前がにが特別とされるのはいくつか理由がある。(1)カニ漁が盛んに行われる越前海岸沖の海底は、えさが豊富で、カニがすみやすい100m~150m~200mと段々畑のような地形で、ほかの地域にはない特別な環境で育つ。(2)漁場から日帰りできるのは越前海岸だけで、ほかのズワイガニの場合は一晩寝てから水揚げされるのと比べて鮮度が違う。など。その美味しさは、食べてみると分かるらしい。
本物の越前がにを提供してきた自負
「初めてカニをお召し上がりになる方は、安さを売りにしたお店ではなくて、ちゃんとしたお店で召し上がっていただきたいのですよ」と話すのは、東京・南青山にある福井料理店「望洋樓」のマネージャー梅原朋之さん(42)。 冷凍物や一度茹でたカニは安価に食べることはできるが、梅原さんは「カニは素材が勝負です。素材はごまかせないので、それしかできません。カニは目利きがすべてです」と譲らない。本物の越前がにを提供してきた自負がそこにある。