「半年間、毎日食べ続けた」外来種をキッチンカーで販売する芸人。「ナマズはフライ、ザリガニはパウダーに」
外来種を“活用”する上でハットリさんが気を付けていること
「釣りをしながらの生活で、ブラックバスをはじめ釣り人による放流によって広まった外来種問題というものが常に付きまとうことを実感しました。 以前から外来種にまつわるさまざまな問題には興味もありましたので、外来種のことでも何か自分にできることはないかと、2年前に半年間毎日外来種の魚を食べるというチャレンジをしました。 その経験で得た、これは美味しく食べられる、臭みがあるけれどこう工夫したらいける、そして数がある程度確保できそうな種類は?という知識が今に生かされています」 キッチンカーの出店で大変なのは、いわゆる「仕入れ」だ。ちょっと考えてみればわかるが、ブラックバスやブルーギル、アメリカナマズといった外来種は豊洲市場などの魚市場には基本的には入荷しない。 ではどうするか。ハットリさん自身が釣ったり仲間にもらったりすることが「仕入れ」となる。 ハットリさんのスタンスとして常に気を配るのは、ハットリさんは外来種をビジネスとして扱う中で「活用で成功」したいわけではないということへの理解だ。 「外来種の活用はメディアなどでときどき町おこしとして取り上げられることもありますが、活用することがゴールだととらえられがちなんです。 これがヒットした、じゃあお金になるからもっと成功させようとなると、数を増やそう、養殖しようといった本末転倒なことが起こりかねないという危険をはらんでいるんです。産業化させないということを、常に注意しています」
自然は「一つの異なるピース」ですべて崩れてしまう
ところで外来種のどのような部分が問題視されているのだろうか。 「そうですね、漠然と外国から来た生き物がもともといた日本の生き物を駆逐していく悪い存在、といったイメージは持たれていると思います」 しかし、そもそも「外来種」という定義が我々が認識するものと異なっている部分があると、ハットリさんは言う。 「外来種とは、本来の生息地じゃない場所に人間の手によって移動させられた生き物を指すんです。ですから外国から来たものだけじゃなく、日本在来の生き物や植物も、本来の生息地以外の場では『外来種』となるんです。 全ての外来種が害があるわけではないのですが、害があるものは「侵略的外来種」とされ対策が必要になります。侵略的外来種を本来の自然の環境と違うところに人間が持ち込むことによって、元の自然の環境がガラッと変わってしまうということが問題なんです。 魚に関していえば、そこにもともといた魚が食べられてしまうこと、もともといた魚の餌やすみかを奪ってしまうこと、そして別の種と交雑してしまう可能性があるという点ですね。 自然界は、いろいろなパーツが複雑に組み合わさって形づくられているもの。それがひとつパーツが異なるだけで全てが崩れることもある。外来種問題とはそういう問題なのだと思ってもらえたらうれしいです」