女川原発2号機が再稼働、長期停止で人材・供給網に劣化リスク
変化の兆し
岸田文雄前政権は、原発の新規建設や再稼働推進を盛り込んだ「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を22年に策定した。政府の姿勢の変化などをきっかけに、各社が苦戦してきた人材集めに変化の兆しもみえてきた。
東芝エネルギーシステムズで原子力技師長を務める薄井秀和氏は、昨年頃から「割と興味を持って話を聞きに来てくれる方がだんだん増えてきている」と話す。同社によると、今後の事業拡大をにらみ今年の採用枠は2年前に比べ3-4倍に増やす予定だ。
学生からは原子力の将来について期待と不安の声が上がる。東京都市大学で原子力安全工学科を専攻する鈴木雅人さん(21)は、同級生には「原子力に対して前向きで、将来性のあるものと思っている人が多い」と話す。その一方で、岸田氏に代わって首相になった石破茂氏がかつて「原発ゼロ」を掲げていたことから、「そこが不安だという人は周りにちらほらいる」とも述べた。
鈴木さんは、再稼働が進んだPWRがある西日本は「目に見えて電気代が安い。BWRもせっかくいっぱいあるのに使わないともったいない」といい、将来はメーカーで働き、原発のエンジニアになることも視野に入れているという。
--取材協力:野原良明.
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Tsuyoshi Inajima, Shoko Oda