久保建英が示した進化「43/20」 スペイン10傑入り…数字で証明する“圧倒的な武器”【現地発コラム】
今季も進化を続ける久保、データにも現れているドリブルの凄み
そして今季、久保はラ・リーガ全11試合(先発7試合)に出場しているが、ドリブル力は進化し続けている。 ドリブル数はチーム最多の43回と、過去2シーズンを大きく上回るハイペース。チーム内で次点のアンデル・バレネチェアが20回、セルヒオ・ゴメスが13回であることから、久保が如何に多くのドリブルを仕掛けているかが分かるだろう。 43回というのはラ・リーガ全体では9番目。その上にはバルセロナのラミン・ヤマル(69回)、レアル・マドリードのヴィニシウス(64回)、キリアン・ムバッペ(56回)、ラス・パルマスのアルベルト・モレイロ(50回)、オサスナのブライアン・サラゴサ(48回)、アスレティックのニコ・ウィリアムズ、セビージャのドディ・ルケバキオとチデラ・エジュケ(各46回)がいるだけだ。 成功数に目を向けると、久保は20回でチームトップ。セルヒオ・ゴメス(8回)とバレネチェア(7回)がこれに続く。ラ・リーガ全体のランキングでは、ヤマルとエジュケ(各31回)、ヴィニシウス(26回)、エムバペ(25回)、ルケバキオ(24回)、モレイロとサラゴサ(各23回)、ベティスのエズ・アブデとバジャドリードのラウール・モロ(各21回)に次ぐ10位である。 一方、久保の成功率は47%と過去2シーズンを下回っているが、主な原因として相手の警戒心がより強くなり、マークが集中しやすくなっていることが考えられる。しかし、ラ・リーガ最高のドリブラーであるヤマルの成功率が45%なので、申し分ない数字であることも確かだ。 また久保は空中戦を除くデュエルでも強さを見せている。ここまで49回勝利し、バレンシアのティエリー・コレア、ビジャレアルのイリアス・アコマックと並ぶ10位。トップはヤマルで76回となっている。 久保がラ・リーガで特に警戒されている選手であることは被ファウル数からも見て取れる。マジョルカのサム・コスタと並ぶ22回で5番目に多い。その上には、ヘタフェのクリスタントゥス・ウチェ(32回)、ヴィニシウス(31回)、ベティスのジオヴァニ・ロ・チェルソ(27回)、ヤマル(25回)がいるのみ。過去2シーズンの被ファウル数はそれぞれ48回と52回であるため、まだ27節残る今季、より多くのファウルを受ける可能性は非常に高い。 これらのデータを踏まえると、久保はその卓越した“ドリブル力”でラ・リーガ屈指のタレントとなっており、どの相手にとっても厄介な存在であることは間違いない。極度の成績不振に陥っているチームを救出するためには、久保がオサスナ戦で見せたようなパフォーマンスをコンスタントに発揮する必要があるだろう。 [著者プロフィール] 高橋智行(たかはし・ともゆき)/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。
高橋智行 / Tomoyuki Takahashi