介護離職を減らすための備え 個人や職場ができる具体策は
■個人でできることは
とにかく事前準備と情報収集が重要です。親と介護の話をしていますか? 親のかかりつけ医や親しい友人を知っていますか? 親の家のご近所にあいさつし、名刺を渡しておくと万が一の時にご近所の方が気づいて、ご連絡をいただけることもあります。 資産も親が元気なうちに洗い出しておく。認知症になると、パスワードがわからない、銀行名すら覚えていないということも。「もしもの時に役立つ」など市販のノートもあります。実家に行った時に冷蔵庫を1回はあけますよね。親にそうしたノートを書いてもらって、冷蔵庫に入れておく。言いだしにくい場合は「これ、会社の研修でもらっちゃって。書いておいて」と会社のせいにして渡すのもいいと思います。 風邪だと思ったら実は重病のこともあるので、高齢者には健康診断にいってもらう。新しいことを覚えられるうちに、パソコンやスマホをプレゼントし、ペットやお子さんの成長などを写真や動画で見せるのが効果的だともいわれます。家の出入りがわかるように設定し、1日動きがないとわかるシステムもあります。「明日電話しよう」と思っても、それでは「遅かった」ということもある。 そして、お正月などきょうだいが集まる機会に介護の話題を出すことをおすすめします。今後について親の考え、価値観を聞く時間を持つことです。 きょうだい間でもめるのを避けるため、情報を共有することも大切。私はライングループで必ず情報を流しました。姉は海外にいるけど、お金を出し、私は柔軟な働き方ができるので、親の家を訪ねるなど分担しました。 そして介護は、想定外のことが起こるものだと考えていただきたい。一人で抱え込まないよう、事前に調べて、困ったらここに聞くという関係機関の表を作っておくといい。介護について職場の制度も調べてみてください。相談すると、実はこういうサービスがあるよなど教えてもらえることもあります。
■職場でできること
部下が介護が必要になったと言ってきたら、上司は「言いにくいことを相談してくれてありがとう。●●さんの体調は大丈夫? ご自身のケアもしてね」などと言った上で、会社の制度を提示してあげると、部下は活用しやすいかもしれません。仮に介護の経験があったとしても、個別で状況が違うので、「こうしたら」などとアドバイスしてもそれが有効かはわからないです。 まだ介護をかかえていないメンバーが多いとしても、各自、親やおじなど家計図を書いてもらうのはおすすめです。ほかの人に見せなくていいので、誰を介護する可能性があるのか、可視化すると備えになります。 そして、誰もが介護や自分の病気など急に出社できない可能性があると想定し、職場としてはリモート対応を考えておく、引き継ぎしやすいように、日頃から準備することも大切です。 そして私的なことも気軽に話せる雑談の場をリアルでもチャットでもいいので作っておくと、深刻化する前に相談しやすいし、周囲も早めに事情を把握できます。 私がいるワーク・ライフバランス社は、資料とか議事録も常に他の人が見ようと思えば見られる場所に必ず置くようにし、資料なども作り始める段階から共有します。自分が明日急に休んでも仕事が回るか? を考えてみてください。日頃から仕事を属人化させないという文化が重要かなと思います。