一流のマネジャーほど“内省”している...リーダーシップを鍛えるプロセス
人材開発という言葉をとらえなおす
本書の著者の金井氏によるあとがきに、言葉をより適切にする試みがあります。「人材開発」は「人材発達」あるいは「人材発達支援」に、「キャリア開発」は「キャリア発達」あるいは「キャリア発達支援」に、「リーダーシップ開発」は「リーダーシップ育成」に言葉を書き換えた方がよいと言われています。 人という尊い存在に影響を与えようという試みは傲慢さと紙一重です。「人を育てる」という他動詞で見るよりは、本来「人が育つ」という自動詞のものであり、周りができることはそれを支援することだという謙虚さを忘れないようにしたいものです。 近年より難易度が上がった事業成長という目標は、人の成長と組み合わせられれば、きっとより実現性が上がります。組織で働く以上、業務遂行においても人材育成においても中核となるマネジャーは重要な存在です。ただその中核の存在を育てることは難しく、それゆえにどの会社でも課題を抱えています。 著名な2人の研究者が相互に高め合いながら議論を展開していく本書は、本質的な内容が込められていて、しかも読みやすく仕上げられています。優れたマネジャーが育つ組織にしたいと願う人や、より高みを目指したいマネジャーこそ読んでおきたい一冊です。
大賀康史(フライヤーCEO)