昇進減る米労働市場、買い手市場戻る-見捨てられるエントリーレベル
(ブルームバーグ): 2024年の労働市場の大きな特徴は仕事を辞める人が減っていることだ。このことほどは目立たないが、昇進する人も少なくなっている。
既存の従業員がその地位にとどまることで、新人が割り込む余地はほとんどない。新卒者が入社するのも一段を難しくなる。
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グラスドアのチーフエコノミスト、アーロン・テラザス氏は、「満ち潮はすべての船を持ち上げるが、引き潮では最もエントリーレベルの人たちが見捨てられた状態になる」と語る。
ADPリサーチ・インスティテュートのデータによると、昨年は事実上すべての勤労社会人で管理職への昇進率低下が示された。2023年には、Z世代(現在、最年長で27歳)の昇進率はわずか2.1%で、21年の2.5%から低下。ミレニアル世代では、昇進率は昨年1ポイント近く下がった。
ADPのピープル・アナリティクス・リサーチ担当ディレクターでリポート執筆者のベン・ハノウェル氏は、「採用が減り、新しいチームの編成も減っている。従って新しい管理職のニーズも減っている」と指摘する。
ライブ・データ・テクノロジーズがブルームバーグ・ニュースのために行った調査によると、昇進の鈍さは24年に入っても続いている。6800万人のホワイトカラー専門職のうち、今年1-3月に昇進したのはわずか1.3%と、過去5年との比較で1-3月としては最低だった。
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昇進率は過去の基準から見れば低くはないとはいえ、同僚たちが順調に出世するのを目の当たりにしてきた労働者にとって、ここ数年の減速ペースは一段とこたえるものとなる。21、22年には、雇用主が経験豊富な人材を獲得するために表現を盛り、役職名のインフレがまん延した。
テラザス氏は、現在の環境は「2年前のような積極的な採用から少し後退している」と説明した。これは雇用統計からも明らかで、5月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比27万2000人増となったものの、21年の月平均60万4000人増には遠く及ばない。