建築学生デザインの“おしゃれカー”も 名古屋の「自動車図書館」新車両4台お披露目
建築学生デザインの“おしゃれカー”も 名古屋の「自動車図書館」新車両4台お披露目
名古屋市立図書館の本を積んで市内を巡回する「自動車図書館」の新車両が完成し、26日にお披露目イベントがあった。新車両4台のうち1台は、建築やまちづくりを研究する学生らが手掛けた、おしゃれなキッチンカーのようなデザイン。本の貸し出しを通じて街の賑わいづくりにも貢献する。
伊勢湾台風の時代から名古屋の子どもに親しまれる
名古屋市の自動車図書館は1956(昭和31)年、まだ市内で2館しかなかった図書館の本を遠方の市民にも届けようと導入された。その3年後に市を襲った伊勢湾台風では「わかば号」と名付けられた車両が被災地を回って子どもたちに喜ばれたという。 以来、車両は代々更新され、近年はマイクロバス型の「なごや号」と「みなみ号」の2台が運行していたが、この春までに引退。代わりにコンパクトな車両4台で運行することになり、整備が進められていた。 お披露目イベントの会場となった市中心部・栄の広場にはその4台が勢ぞろい。関係者によるテープカットの後、名古屋で祝い事の際に行われる「菓子まき」もあり、多くの子どもたちが集まった。
青緑色の荷台や木の移動棚で賑やかな雰囲気醸し出す
新車両はそれぞれの荷台の扉を開けると本棚が現れ、好きな本を手に取れる。名城大学建築学科の研究室がデザインを担当した1台は、ひときわ背の高い青緑色の荷台の中に人が入ってベンチに座れるほか、移動式の木の棚が外に展開されて、さらに賑やかな雰囲気を醸し出す。子どもたちは早速お目当ての本を見つけてベンチの上で読んだり、荷台の中と外の棚を行ったり来たりしていた。 研究室を率いる谷田真准教授(建築計画)は「子どもたちが楽しそうに使ってくれて安心した。親子の居場所を作りながら自動車図書館としての機能性をもたせ、移動棚などのシステムの拡張でウォーカブルな(歩きたくなる)街づくりに貢献したい」と話していた。 新車両は2台が南区の南図書館に配置されて1カ月半に1回程度、市内全域の118カ所を巡回。利用者は貸出券があればその場で本や雑誌を8冊まで借りられ、次の巡回日に返却できる。名城大デザインの車両を含むもう2台は、昭和区の鶴舞中央図書館に配置されて地域イベントや商業施設などに出張する予定。市は新車両の愛称も募集する。 (関口威人/nameken)