反復着床不全で子宮内膜症の患者、歯周病菌を子宮内から高頻度に検出 山梨大など
より詳しく細菌と子宮内膜症の関係を調べたところ、ディアリスター菌は反復着床不全の場合、子宮内膜症がある患者群の方が、ない患者群に比べ、約11倍存在することが分かった。小野助教らは、これらの結果から「妊娠する場である子宮内において、菌種が多かったりすると炎症があったりして、着床が難しくなる可能性がある」と結論づけた。同時に「今回の研究からは、歯周病だから反復着床不全になるのかまでは分からなかった。現在流通している抗生物質や乳酸菌製剤で不妊が改善するのか、研究を進めたい」とした。
近年、産婦人科領域では、将来の妊娠するための力である妊孕性(にんようせい)を確かめるプレコンセプションケアの重要性が唱えられている。このケアでは子宮内膜症や子宮内のポリープ、卵管の癒着などといった妊娠に支障を来す臓器の状態のほか、心身で妊娠しにくい状態が生じていないかをチェックする。ブライダルチェックという名称で検査を実施している医療機関も多い。
吉野教授は「プレコンセプションケアで『心身を整える』といっているが、歯周病を治療することも必要かもしれない。歯周病は早産の原因にもなるとされているので、研究を進めて、リスクがどれくらいなのか、科学的根拠を基に示したい」と話している。
研究は日本医療研究開発機構(AMED)と日本学術振興会の科学研究助成費助成事業を受けて行われた。成果は「ジャーナル オブ クリニカル メディシン」電子版に8月7日に掲載され、山梨大学が同月22日に発表した。