大荒れレースも競馬ファン激怒。なぜJRAで156頭競争除外の禁止薬物失態が起きたのか?
公正競馬とは聞いてあきれる。巨大ギャンブル産業JRA(日本中央競馬会)が大失態だ。14日に飼料添加物から興奮作用のある禁止薬物「テオブロミン」が検出されたことが発覚。競走の公平性を期すため15、16日に東京、阪神、函館の各競馬場で出走を予定していた競走馬156頭を競走から除外した。この”強行開催”に競馬ファンの多くが激怒の声をあげ、15日の売り上げは、東京競馬だけが前年比2.9%増で、阪神競馬は10.6%減、函館競馬は20.7%減となった。 これだけ大量の競走馬が出走取り消しになるのは前代未聞。深刻な事態だ。騎手を代表して会見した日本騎手クラブ副会長の福永祐一は「競馬サークルの一員としておわびする。競馬の歴史上類を見ない事件」と神妙な面持ちだった。該当した厩舎の調教師からも困惑と怒りの声が噴出。競馬史に残る汚点となった今回の一件は、一体なぜ、起こったのだろうか。 まず問題が発覚したのはレース前日にあたる14日午後4時。「カイバ業者から納品している飼料添加物に禁止薬物が入っているので回収したいと申し出があった」と栗東のある調教師からJRAに問い合わせの連絡が入ったという。 これを受け、公益財団法人・競走馬理化学研究所が調査したところ、競走馬のカイバ(エサ)に混ぜるサプリメント「グリーンカル」から禁止薬物の「テオブロミン」が検出された。JRAは公正確保の観点から15日の開催で72頭、16日の開催で84頭の計156頭をレースに出走させない措置を取った。対象となった商品を使用していたのは栗東22、美浦6の計28厩舎とみられる。 JRAは阪神競馬場で会見し「検査済みのものしか販売しないはずが、徹底されていなかった。対象となった156頭については14日中に検査できなかったので、競走の公平を確保するために競走除外とした」と話した。 今回、問題となった禁止薬物のテオブロミン(カフェインの1種)が検出されたのは商品名「グリーンカル」という一種のサプリメント。ビタミン・ミネラル剤だ。テオブロミンは気管支拡張作用や強心作用、興奮作用があり、一時的に競走馬の能力を高める可能性があるため、禁止薬物104種類のひとつに指定されている。