大荒れレースも競馬ファン激怒。なぜJRAで156頭競争除外の禁止薬物失態が起きたのか?
「グリーンカル」は厩舎で古くから使われている製品で、あるベテラン厩務員によると「カルシウムを補給するサプリメントとして20年ほど前は盛んに使われていたけれど、いまはそんなに使っている厩舎は少ないはず。今回は新しく生産したものの中に禁止薬物が入っていた」とのことだ。また別の厩務員は、「いままで大丈夫だったから、そのまま素通りしたのでは」と言う。 もちろん、競走馬の体内に入るものは、新しく製造されるたびに原料、生産工程などが異なることから販売前に「競走馬理化学研究所」で薬物検査を受ける規則になっている。だが、今回は検査結果が出る前の製品が厩舎に流通していたというのだからあきれる。 業者が悪いのか。それともチェックする側、JRAの杜撰な管理に問題があったのか。 もっともJRAは公正確保のために飼料などに関しては通常は厳しいチェック体制を敷いている。例えば、新規で参入しようとする際、まず業者は1袋20キロのサンプル飼料を理化学研究所に提出し、陰性か陽性かの判断を仰がなければならない。OKの場合は「飼料等薬物検査成績通知書」を渡される。これが第1段階。次に栗東トレーニングセンターなどで薬物講習を受けて「受講修了証」をもらい、この2つが揃ってはじめて販売できるような仕組みになっている。 今回の製品「グリーンカル」は日本農産工業が生産したもので、同社によると、現時点では原因の特定はできていないとのこと。これまで定期的に検査を実施しており、過去に禁止薬物が検出されたことはないという。今後の販売は停止し、在庫品を回収する。 ある業者は一般論とした上で「今回の禁止薬物は18年後半に生産したロット分に入っていたようだ。ロットは1回の生産ラインによってつくられたもので、製造工程や規模によって、それが1トンなのか100トンなのかが違ってくる。サプリメントはアメリカ、イギリス、中国などの輸入品を配合しているケースが多く、同じ製品を卸すにしても年1回は検査を受けた方がいいと言われている」と話した。