今日桜花賞…1番人気の”純白のヒロイン”ソダシはジンクスをはね返して勝てるのか?
これまで白毛馬は、JRAで通算34勝しているが、そのうち吉田が、騎手トップの7勝。白毛馬のスペシャリストである。 「白毛馬は口向きが敏感で物音に気を遣う面がある。ソダシはそこまでうるさくないし、他の白毛馬がダート中心だったのに対して、ソダシが芝で走るのは、ギアが上がるから」と、吉田もそのポテンシャルに信頼を寄せる。 桜花賞へ向け、コンディションに不安もない。今回は4か月の間隔をあけての休み明けの”ぶっつけ”となるが、何かアクシデントがあったわけではなく、2月11日から時計を出し、唯一の課題ともいうべきゲート練習にも入念に取り組んだ。管理する須貝尚介調教師も「不安らしい不安はないですよ。言葉が見つからないぐらい、うまく調整できた」とニンマリだった。 桜花賞の舞台は阪神ジュベナイルフィリーズと同じで経験済み。 須貝調教師は「今後は距離が気になってきますが、阪神マイルはもちろん、タフな馬場になっても大丈夫。自分のリズムさえ崩さなかったらどんなレースでもできる。阪神競馬場の桜は残りわずかでしょうが、緑のターフに真っ白な花を咲かせられたら」と、粋なコメントで会見を締めくくった。 担当するのは今浪隆利厩務員。皐月賞、有馬記念などG16勝を挙げ、“芦毛の暴れん坊“とまで言われたゴールドシップを手なずけた腕利きとあって須貝調教師も、「しっかり世話をしてくれているから」と全幅の信頼を置く。その上で、「ソダシとは毎日ふれあって遊んでいます。こっちのことを分かっているし、近づいて行くと喜んでくれる。白毛はやっぱり珍しい。ペットみたいでかわいい」と厩舎での一コマを目尻を下げながら語ってくれた。 ソダシの存在は異例だ。 サラブレッドの毛色は鹿毛がほぼ半数を占め、栗毛、黒鹿毛、芦毛、青鹿毛、青毛、栃栗毛、白毛の8種類。特に白毛は珍しく1979年に日本で初めての白毛馬ハクタイユーが生まれてから昨年まで、33万2276頭のサラブレッドが誕生した中でわずか40頭しかいない。芦毛が年を重ねるごとに白くなるのに対し、白毛は生まれたときから白く、まれにソダシの母ブチコのようにブチ模様に出るときもあるが、ソダシは美しい白だ。 ただ「白毛馬は走らない」が競馬界のジンクスとしてある。ソダシが現れるまでクラシック出走を果たした馬はなかった。 その中で、唯一活躍を見せたのが。1996年生まれでサンデーサイレンス産駒のシラユキヒメから広がる一族。その代表産駒が、今回、ソダシのライバル馬の一頭であるメイケイエールの祖母にあたるユキチャンである。ブチコの姉でもあり、白毛馬として初めて関東オークスなどダートの地方交流重賞を制覇した。しかし、武豊騎手とのコンビで挑んだ芝のG1秋華賞は17着に終わってクラシックに手が届かなかった。 ソダシには「白毛馬不利」説だけでなく不吉なデータもある。G1への休み明け”ぶっつけ”は最近のトレンドでもあるが、桜花賞でいえば、12月の阪神ジュベナイルフィリーズからの直行ローテーションでは、2014年のレッドリヴェールの2着が最高。また血統面ではクロフネ産駒はクラシック未勝利で、ホエールキャプチャ、アエロリットも勝てておらず、ソダシの入った2枠も過去10年で勝ち馬が出ていない。 重賞勝ち馬が7頭もそろい、ライバル馬のレベルも高い。4枠8番の3番人気、メイケイエールも打倒ソダシに燃える一頭。折り合いに課題があったが阪神ジュベナイルフィリーズでは、ロスの多い競馬で“負けて強し“の4着だった。前哨戦のチューリップ賞では、名手、武豊騎手の手綱でも、途中、制御不能に陥りながらも、最後まで踏ん張り、エリザベスタワーと1着を分け合った。今回は、馬具をシンプルにするとのことで、不安材料は減った。武英智調教師が「ひいき目ではなく、能力はズバ抜けている」と話すほどの器。極端な逃げ馬は見当たらず、乗り代わった横山典弘騎手に導かれ、絶妙なペースで逃げるようならソダシを止めるのは同じ一族となるかもしれない。 8枠18番の単勝2番人気、サトノレイナスは阪神ジュベナイルフィリーズがハナ差の2着。鞍上のクリストフ・ルメール騎手は「反応が良くなった」と逆転へ意気込む。こちらもローテーは予定通り。関西への輸送を経験しているのも心強い。紅梅ステークスを勝ったソングラインといった新興勢力の台頭も十分考えられる。 ソダシの快挙を阻む条件は少なくないとはいえ、阪神ジュベナイルフィリーズでの走破タイム1分33秒1は過去10年で2番目の速さだ。五分のスタートからリズムさえ乱さなければ、ソダシはレースを作れる強みがある。 白毛馬がトップでゴールを駆け抜ける夢のように美しい勝利シーンが現実のものになるのか。注目のゲートは本日、15時40分に開く。