「ふるさと納税」制度の拡充を検討 その狙いとは?
政府は、「ふるさと納税制度」を2015年度から拡充する方針を固めました。その目玉として注目されているのが、税金の控除上限額の引き上げです。最近、各メディアで取り上げられ注目度が増している「ふるさと納税」ですが、上限額引き上げにはどんな狙いがあるのでしょうか?
「ふるさと納税」制度とは
そもそもふるさと納税とは、都道府県や市町村など、自分が応援したい自治体へ寄付できる制度です。寄付した金額のうち2000円を超える部分については、一定の上限まで所得税と個人住民税が控除されます。たとえば、年収550万円の夫婦に高校生の子どもが1人いる場合、全額控除される寄付額の目安は3万円。上限額の3万円を寄付すると、2万8000円の税金が軽減されます。この時、3万円以上寄付しても控除額は増えないので、自己負担は2000円よりも増えることに。寄付金の上限額は、年収や家族構成で変わります。 また、人気が高まっている理由は税金の控除だけでなく、自治体からの「オマケ」があるから。実は、寄付した自治体からは「お礼」として米や酒、肉などの特産品が贈られるケースが多く、実質2,000円の自己負担で豪華な特典を得られるのです。 このようなメリットから、2008年のスタート時の寄付者は約3万人、寄付総額は約73億円でしたが、2012年は約11万人、約130億円と増加しています。
寄付の控除上限額を2倍に
現行制度で税金が軽減される寄付の上限は、居住地の自治体に本来払う個人住民税の1割と定められています。今回政府が明らかにした拡充案では、この上限を約2割に引き上げる方針が示されました。 つまり、先ほど挙げた例では3万円が全額控除される寄付額の目安でしたが、6万円までが控除の対象となり、控除額は5万8000円になります。さらに、特産品などは寄付金額に応じて内容が変わることが多く、寄付額が大きくなれば受けられる特典がより充実した内容になる可能性があり、寄付先の選択肢も広がります。ふるさと納税の利用者にとって、上限拡大は大きな魅力になるでしょう。 ところで、ふるさと納税のメリットである控除を受けるには、寄付した自治体から送られてくる証明書を添付して確定申告を行う必要があります。これを面倒と感じ、制度を利用しない人も少なくありません。そのため、政府は税の控除を住民税に一本化し、確定申告を簡素化することを検討しています。