「ふるさと納税」制度の拡充を検討 その狙いとは?
新成長戦略に「ローカルアベノミクス」
政府はどうして、このタイミングで制度の拡充を図ろうとしているのでしょうか。背景には、来春に控えた「統一地方選」があります。政府が6月にまとめた成長戦略では、地方経済の活性化を目的とした「ローカルアベノミクス」の新語が登場。アベノミクス効果を全国に波及させ、地方活性化に重点を置く姿勢を強調しました。そのアプローチの一つとして、地方財政への貢献が期待できるふるさと納税の拡充案を打ち出したのです。 しかし、ただ制度を拡充したからといって、地方の財源対策に大きな効果があるとは限りません。本来、ふるさと納税は都市と地域の税収格差を是正する狙いがありました。しかし、寄付者の多くは特産品目当てのため、小口中心で税収格差に効果はほとんど見込めません。また、自治体側もより多くの寄付者を集めようとプレゼント競争が過熱。高価な返礼品を用意するためにコストがかさみ、費用対効果が合わないといった見方もあります。 一方、副次的な効果としては、ふるさと納税で地域をアピールしたことで都市部からの移住者や観光客が増えたり、農産物が人気を呼んだことで農家の人が休耕を思いとどまったりするなどの効果が生まれています。制度開始から6年近く経った今、課題点を改善し、財源としての価値だけでなく、本当の意味での地域活性化への効果が期待されます。 (南澤悠佳/ノオト)