<斎藤工>「海に眠るダイヤモンド」進平とリナがつむぐ絆 池田エライザとの撮影は「目線や表情で感情を表現するシーンが印象的」
--撮影と放送が並行していることで、お芝居にも良い影響があるんですね。
そうですね。映画と違い、連続ドラマでは視聴者の反響や放送を見て感じたことを持って撮影に戻ることができるのが大きい。スタッフ・キャスト全員が反響の喜びをエネルギーに変え、さらに撮影に注力できる循環があるため、1人で役を作り上げたというよりもみんなで一緒に作り上げたという実感があります。すごく頼もしい現場で、撮影が進むほど恵まれた環境への感謝が大きくなっています。
--とても雰囲気が良い撮影現場ということが伝わってきます。
とにかく撮影現場全体を大切にしてくれる、本当に理想的な制作環境です。炭鉱シーンの撮影場所である鉱山では、電波が届かずトランシーバーも使えませんでしたが、塚原監督がどんな些細なことでも遠くからダッシュで駆けつけてくださって、こちらの不安を解消してくれました。現場を作り上げる皆さんの努力や配慮には、いつも感謝の思いが尽きません。
◇悲しみの共鳴から生まれた進平とリナの恋
--リナとの恋仲も展開してきましたが、2人の関係性を振り返ってみていかがですか?
脚本の段階で鮮やかに描かれていたリナと進平の絶妙な距離感を、監督陣が映像でさらに立体的に仕上げてくれています。2人の関係性は役者同士の間合いだけではなく、客観的に切り取ってもらうことでさらに解像度が高くなる。僕自身も放送を見て「こういう距離で正解だったんだな」と答え合わせをしている感覚があります。2人の恋模様は鉄平と朝子、百合子と賢将とは異なる湿度がありますし、それが独特の魅力を生んでいるのだろうなと。
--大人ならではの恋愛ですよね。
そうですね。進平とリナは恋愛関係である以前に、お互いに愛する人を失ったという共通の悲しみを抱えることで深く共鳴し合っています。だから、ほかのキャラクターたちの恋愛に比べてビターな雰囲気が漂っているのではないでしょうか。