はやぶさ2最後のミッション JAXA会見(全文2)今回の運用は世界初の事例
大学コンソーシアムによる運用結果報告
吉田:それでは引き続きまして、大学コンソーシアムから今回の運用結果についてご報告させていただきます。私、東北大学の吉田でございます。本日は一緒に開発、運用に参加しました九州工大の永岡准教授も来ておりまして、後ほど、途中で永岡からも説明をさせていただきたいと思います。 まず最初に、今回、最後となっておりました、MINERVA-II2、ローバ2の切り離し、日本時間で10月3日の早朝でございましたけども、無事に切り離し運用に成功いたしまして、これが成功したのもひとえに「はやぶさ2」の運用チームの皆さん、そして先ほども説明ありましたけども、非常に難しい撮影を、カメラ画像、成功していただきましたONCチームの皆さんに御礼申し上げたいと思います。 では少し先ほどの吉川さんの話に補足する形で私のほうから説明を申し上げます。まず最初でございますけれども、これは切り離した直後、切り離された直後でございますが、「はやぶさ2」に搭載されてますONCのW2というカメラで撮影した連続画像でございます。すでにTwitterで、この真ん中の1枚のみ公表しておりましたけども、実はかなりの枚数、連写していただいておりまして、それを合成するとこのような画像になります。これは分離直後のローバーの切り離しの方向や速度を推定するという意味で非常に意義のある画像でございます。これを動画に編集したものもありますので、次にお見せしたいと思います。
リュウグウを周回する軌道に投入
実際の速度よりも、およそ6倍ぐらいの速さでこの画像は編集をしております。このような形で切り離されてリュウグウを周回する軌道に投入されました。 次でございますけども、ちょっとこの写真の画像、先ほどのものと左右を反転して表示しております。右側に探査機の絵がありますけども、探査機の基準の座標系で見ますと、Y軸方向のマイナス側ですね、マイナスY方向にこのローバーは切り離されますので、ちょうどこの画面のイメージのように左側に去っていくというところでちょっと向きをそろえてございます。この画像を連続写真から、ちょっと中心のマークとかを追加工しておりますけども、これから切り離されて分離していく速度というのが推定できております。 そこで、1つ気付きではあるんですが、実際はこの探査機の下方、マイナス5度方向ぐらいに切り離すというのが設計値であったんですけども、実際はやや低めに分離されております。測度の大きさはだいたいおおむね想定の範囲内だったんですが、切り離しの角度が30度下方に離れていくと。その結果として実は、その後の周回運動に当然これは初期条件で影響を与えてくるんですが、当初予想よりもやや短めに、早いタイミングで小惑星表面に着地をしたというふうに考えております。