萩原利久が語る、映画『朽ちないサクラ』への思い「以前から警察官役を演じてみたいと思っていました」
──役者をやっていて、一番楽しいと思う瞬間はいつですか?
準備段階から撮影、作品が公開された後、すべてのサイクルが楽しいですね。俳優はスポーツと違って現場では目に見える結果が得づらい職業で、「これができたらOK」というものがあるわけでもないですし、見る人によって評価も全然違います。でも、ここ数年見てもらえることがすごくありがたいことなんだなという感覚が増しています。作品を見てもらって感想をいただけると、次の作品をより良くしていこうと思う。僕の性格的にもそういったサイクルがすごく合っていると思っています。僕は好きなものを掘っていくことがすごく好きで、知らないことがあるとストレスを感じやすい性格です。どんどん調べていって、色々なものを見て、覚えていくことが好きなんです。役づくりにおける準備はやろうと思えば無限にできると思っていますが、たとえ時間が無限にあったとしても、「今回はすべての準備ができました」となることはおそらくなくて、どれだけ準備をしても永遠に課題は見つかる。僕はその準備をするという行為がすごく好きなので、この仕事には向いているんじゃないかと自分では思っていますし、自分の性格においてのベストなやり方がいまのスタイルだと思っています。 ──掘れば掘るほど色々な選択肢が見つかって、迷ったりはしないのでしょうか? 迷うことも楽しんでいるのかもしれません。僕は台本を読む時、「なんでこう思った?」「なんでこうなった?」という風にハテナをエンドレスで付け続けるんですよね。セリフや行動ひとつひとつに対して永遠にそれをやっていく作業が、僕の準備のやり方のひとつです。人によってはそういった作業が苦手な人もいるかもしれませんが、僕は好きなのですごくラッキーだったと思っています。 ──性格的にも役者がすごく合っているんですね。 そうですね。「この仕事をしていなかったら何をしてますか?」と訊かれることがありますが、マジで何してるか想像つかないです。高校の同級生にも「いまの仕事があって本当良かったね。なかったら何してたんだろうね?」ってよく言われるけれど、自分でも「確かに!」って思います(笑)。学があるわけでも他にできることがあるわけでもない。好きなことが仕事になっていて良かったなと心から思います。 『朽ちないサクラ』 監督/原 廣利 出演/杉咲花、萩原利久、豊原功補、安田 顕ほか 2024年 6月21日より公開
写真:河内 彩 スタイリング:Shinya Tokita ヘア&メイク:Emiy(スリーゲート) 文:小松香里