筑波大学女子バスケの鍵となる、地元出身の幼なじみコンビ、プレーは対照的「ガッツあふれるドライブ」「冷静な判断でパス」
6月9日に終了した第14回関東大学女子バスケットボール新人戦で、筑波大学は過去最高順位の2位という結果を収めた。そのスターティングメンバーの中に、地元・茨城県つくば市出身で、小学校時代からの同期でもあるルーキー、鈴木花音(1年、明秀日立)と岡﨑真依(1年、土浦日大)がいた。 【写真】男子は東海大学が5年ぶり、女子は山梨学院大学が初優勝! バスケ新人戦特集
「先輩たちを勝たせてあげたかった」
決勝戦の相手は山梨学院大学。勝てばどちらも初優勝となる重要なカードだった。まず主導権を握ったのは山梨学院大。大会MVPを獲得したアデバンジョ・ブレッシング(1年、日本航空石川)を中心に攻撃を組み立てると、3ポイント王を獲得した岩佐妃花(1年、聖カタリナ)らが確実に得点を重ねる。 対する筑波大は第2クオーター(Q)、岡﨑がゴール前でターンして巧みに相手をかわしシュート、鈴木もミドルをしっかり沈めて連続得点。前半を3点差で折り返した。しかし第3Qで山梨学院大のシューター陣が爆発。一気に点差を広げられ、筑波大・上野心音(2年、聖和学園)らの決死の攻撃も及ばず、78-91で準優勝に終わった。 1年生ながら、大会総得点で4位につけた鈴木は「初めての新人戦で先輩たちを勝たせてあげたかったんですけど、3Qあたりからどんどんやられちゃって、めっちゃ悔しい思いをしました。この悔しい思いを新人インカレに持ち帰って、先輩たちを優勝させてあげられるように頑張らないといけないと思いました」。 準決勝、決勝と40分間フル出場した岡﨑は「率直に悔しいって思いがあります。今まで筑波大として、ベスト4から決勝っていう壁を乗り越えられなかった中で、昨日乗り越えられて。その勢いで勝ちたかったけど、まだまだ足りないところがありました。新人インカレに向けてもう一回見つめ直していきたいです」と振り返った。
ウインターカップに行けず「マジで泣いた」鈴木
2人のプレースタイルは対照的だ。鈴木はガッツあふれるドライブやリバウンドに果敢に飛び込むのに対し、岡﨑は冷静な判断でパスをつなぎ、ディフェンスの引き際も絶妙だ。 出会いは小学校5年生のとき。地元・茨城県つくば市のミニバスケットボールチーム「並木シルバーフォックス」に鈴木が入団したことが始まりだった。小学校1年生の頃から姉の影響で練習についていくようになり、小学校2年生には本格的に競技を始めた岡﨑と、最初はよそよそしい関係だったという。 「最初はお互い人見知りしていて『花音ちゃん』『真依ちゃん』みたいな(笑)」と岡﨑。距離が縮まったのは、チームのキャプテンに岡﨑が就任し、副キャプテンに鈴木を指名した頃から。県でも優勝争いをするほどの強豪チームを一緒にまとめることで仲を深めた。 鈴木は自宅近くの中学校に進学予定だったが、岡﨑ら同じミニバスの仲間が多く進学する並木中学校へ越境することに決めた。中学校2年生の時にはこれまで決して強豪校ではなかったチームを県の新人大会で準優勝に導いた。 高校で初めて進路が分かれた。鈴木が明秀日立高校、岡﨑が土浦日大高校へ。2人が高校3年生時の茨城県の戦力図は下妻第一高校、明秀日立高校、土浦日大高校の三つどもえ状態。6月に行われた関東ブロック大会で土浦日大が準優勝し、ウインターカップ本戦出場の枠が増え、予選では2枠を争う形になった。結果は3校が2勝1敗で並び、得失点差で下妻第一と土浦日大が本戦への出場を決めた。 「マジで泣いたよね」と鈴木。 高校が違っても、ライバルという意識は薄く、応援し合う関係だった2人。一緒にウインターカップに行く夢はかなわなかったが、「応援するから!」という鈴木の言葉が岡﨑の背中を押したという。