もしも娘がクルマが欲しいと言ったら…フォルクスワーゲン「Tクロス」をセカンドカーに【家族シェアメリット考察】
あれもこれもと欲張ると、意外といいお値段に
初めてTクロスを運転する方は、クルマ好きであればあるほど、エンジンのスペックを聞いて驚くはずだ。排気量1ℓの直列3気筒ターボで、日本の軽自動車用エンジンをちょこっと拡大した程度。それなのに、デュアルクラッチ式の7段DSGというトランスミッションとの組み合わせで、思いのままに、するすると加速する。 速度を上げた時の安定感、どっしり感、ボディのガッチリ感は、いかにもドイツ車らしいもの。いまさら「ドイツのクラフツマンシップが」と書いても響かないかもしれないし、フォルクスワーゲンの経営上の課題も報道されている。 けれどもことクルマ作りにおいて、TクロスのようなコンパクトSUVから最上級モデルまで、一気通貫したフィーリングを伝えるあたりは、自動車メーカーとして尊敬に値する。Tクロスは、フォルクスワーゲンの実用ベーシックカーであるのと同時に、ドイツ車全体の入門モデルという大役を見事にこなしている。 問題は、クルマ好きのオトーサンが調子に乗って自分の好みの仕様に仕立てると、意外と値の張る買い物になってしまうということ。 たとえば、「スポーツ」や「エコ」、「ノーマル」といった走行モードを切り替える機能が備わるのは、最上級のTSI Rラインというグレードのみで、これは389万5000円から。ここに、6万6000円也のオプションのbeatsのサウンドシステムを追加すると、あっという間に乗り出し400万円コースだ。 ただし、前述したように基本的な安全装備はベーシックグレードでも標準装備。だから娘さんが「フツーのでいい」と遠慮するのに、オトーサンが張り切って高級グレードにあれこれ付けてしまう、という図も容易に想像できる。 さらにフォルクスワーゲンTクロスの試乗を続けてしみじみと思うのは、これくらいがちょうどいいかも、ということだ。前述したように高速クルーズの安定感は抜群だし、ワインディング・ロードでも小気味よく走る。後席を倒せばゴルフバッグを2個積んでパートナーとゴルフに行くこともできるし、奮発したbeatsのサウンドシステムは車内をリスニングルームに変えてくれる。 娘が家を出たらダウンサイジングでこっちがファーストカーになっちゃうかも……、という可能性すら感じさせる、魅力的なモデル、小さな巨人なのだ。 フォルクスワーゲンTクロス TSI Rライン 全長×全幅×全高:4135×1785×1580mm ホイールベース:2550mm パワートレイン:1.0ℓ直列3気筒ターボ 最高出力:116ps 最大トルク:200Nm トランスミッション:7段AT 駆動方式:前輪駆動 価格:389万5000円~(税込)