「自分の心に優しく」メンタルヘルスメッセージをプリントしたトレーナーやTシャツ、若い世代に大人気の理由は?
メンタルヘルスメッセージをプリントしたトレーナーやTシャツが増えている。それは啓発目的なのだろうか、それとも新手の販売手法なのだろうか。 "Soyez gentil avec votre esprit(自分の心に優しく)"、"Mental health is my priority(メンタルヘルスは私の最優先事項)"、"Il n'y a pas de mal à se sentir mal(調子悪くたっていいじゃない)"、"This Barbie Takes Prozac(このバービーはプロザックを飲んでいる)"等々。大手ショップチェーンやショッピングサイト、Primark(プライマーク)やPraying(プレイング)などの新進ブランド、アマゾンやエッツィーのマーケットプレイス等、あちこちでメンタルヘルスのメッセージTシャツやトレーナーを見かける。それは果たしてこうしたメッセージTシャツ等が売れるから?それとも、深刻ぶらずに社会問題に目を向けさせるため?
トレンドビジネス
パリのサンタントワーヌ病院の精神科医ジャン=ヴィクトール・ブランは、メンタルヘルスのためのチャリティイベントであるPop & Psy(ポップ&サイ)フェスティバルの共同創設者だ。同医師は最近の風潮を次のように語る。「セレーナ・ゴメス、ティモシー・シャラメ、ゼンデイヤ、トム・ホランド、ベラ・ハディッド、ハリー・スタイルズ、ケンダル・ジェンナー等々、Z世代のアイコンは皆、メンタルヘルスをタブー視せず、不安感で日常生活を送ることが困難になっていることをオープンに語るようになっている。スターたちの告白が相次ぎ、当たり前になりつつある状況を目にして、ファッション業界は何かが起きていることに気づき......メンタルヘルスを使って儲けようと動きだした。以前のフェミニズムの大義名分と同様の現象だ」。業界の目的はなるべくたくさん服を売ること。実のところメンタルヘルスのために具体的な行動を起こした大手ファッションメーカーはまだ少ない。 世界保健機関(WHO)によれば、フランスでは精神疾患や心理障害が人口のほぼ5分の1、つまり1300万人に影響を及ぼしている。15歳から35歳までの死因の第1位は自殺だ。これが現実であり、2024年現在、このような社会問題を無視することはできない。TikTokの数字に如実に現れていることでもある。#MentalHealth(メンタルヘルス)、#SelfCare(セルフケア)、#MentalHealthAwareness(メンタルヘルス啓発)のハッシュタグが付いたメンタルヘルスに関連する投稿は、現在までにそれぞれ1090億回以上、500億回以上、250億回以上のビューを獲得している。フランスで、#SanteMentale(メンタルヘルス)のハッシュタグはすでに7億2,400万ビューを超え、#SantéMentaleAide(メンタルヘルスエイド)は200万ビューを超えている。