自民裏金、終わらない不正と制度改正の「いたちごっこ」 自浄能力に疑問符、政治不信払拭の解決策とは?
▽パーティー収入の報告基準は緩い 安倍派などの裏金事件は、規制と不正の「いたちごっこ」がいまだに続いていることをあらわにした。今回の裏金は企業・団体献金や、政治団体間の献金とは出元が異なるのだ。 安倍派は所属議員が納めたパーティー券収入のうち、ノルマ超過分を派閥が議員側に還流し、双方とも政治資金収支報告書に記載しないことで裏金化していたとされる。また、一部はそもそも派閥に渡さず、議員側がプールしていたとも指摘されている。 パーティー収入は「事業収入」に分類され、報告基準は献金より緩い。券の購入者を政治資金収支報告書に記載する義務があるのは、1回のパーティーにおける購入額が20万円超の場合だ。献金は5万円超で対象となる。企業や個人側に、パーティー券の購入記録を残す義務もない。 そのため、20万円以下の購入を外から把握するのは難しい。現金購入の場合、銀行の取引記録なども残らない。不正行為が発覚しにくい「抜け穴」に見えてしまう。 ▽解決の鍵は「緊張感」
政治資金を透明化するにはどうしたら良いのか。駒沢大の富崎隆教授(政治学)は「その場しのぎの改革は駄目だ」と強調した上で、こう提案する。 「パーティー券収入は、少なくとも1万円以上を公開対象とするべきだ。政治資金の現金による授受を禁止し、銀行振り込みにする必要もある」 恒常的に監査する独立した第三者機関の設置も訴える。「関係者の聴聞や関連書類の提出命令、訂正勧告を出す権限を持たせ、不正を行った議員の当選無効・公民権停止の行政訴訟も起こせるようにする」との構想だ。政治家が政治資金を管理する団体を一本化させることも提案している。 この制度なら裏金をつくりにくくなるだろう。ぜひ与野党で実現してほしい。気がかりなのは、成否は国会で多数を握る自民党のやる気次第と言うことだ。 自民党は過去に政治改革大綱などで政治資金の適正化を掲げておきながら、適正とは程遠い運用を繰り返してきた。裏金事件を受けて立ち上げた政治刷新本部で党改革を進めるとしているが、自身に「不都合」な改革に踏み切れるだろうか。