自律神経に悪影響の「スマホ首」 姿勢改善のために意識すべきことは?
パソコンやスマホを見ている時、つい姿勢が悪くなりがちです。悪い姿勢は肩こりや腰痛といった体の不調の原因になることも...。書籍『カラダが20歳若返る!和儀 医師もみとめた狂言トレーニング』より、「胸を開いて呼吸を整える」重要性について解説します。 自律神経が整う、簡単なストレッチの方法 ※本稿は、茂山千三郎著『カラダが20歳若返る!和儀 医師もみとめた狂言トレーニング』(秀和システム)の一部を再編集したものです。
和儀は「悪い姿勢」をも正す
現代の日本人には、猫背、巻き肩、反り腰、受け腰といった「姿勢が悪い人」が増えています。こうした姿勢の悪化は、日常生活の変化によるものが大きいと言われています。 たとえば、昔は畳や床に直接座る生活が一般的でしたが、現在は椅子やソファに座ることが多くなり、背中を丸めた状態で長時間過ごすことが増えています。 昔の日本人にとって普段着だった着物は、帯や腰紐などが身体を支えてくれるため、自然に姿勢が矯正され、胸筋や背筋もきたえられます。しかし、現代は、着物を着て足袋や草履で歩く習慣も減り(ほとんどなくなり)、洋服や靴を履くことが主流になりました。このような生活様式の変化は、身体の自然な姿勢を維持する力を弱め、姿勢の崩れを引き起こしています。 さらに、スマートフォンやパソコンを使う時間が増えたことも、現代人の姿勢悪化に拍車をかけています。長時間のデスクワークやスマホを見下ろす姿勢は、首や肩に負担をかけ、巻き肩や猫背を引き起こします。 これらの姿勢の悪化は、肩こりや頭痛、腰痛などの身体的な不調を引き起こすだけでなく、呼吸が浅くなり、全身の酸素供給が不足する原因にもなります。とくに、反り腰は、腰椎への過度な負担をかけるため、腰痛や坐骨神経痛を引き起こすリスクがあります。 「スマホ首」と呼ばれるストレートネック(首の反りがなくなり頭部が前に出てる現象)も、筋肉に過度の負担をかけています。これは、血管・神経を圧迫したりしている状態で、酷い場合は自律神経にも悪影響を及ぼし、めまい、倦怠感などで生活に支障をきたします。 和儀は、このような現代の姿勢の問題に対処するための効果を含んでいます。狂言の基本的な所作や構えは仙骨を立て、摺り足の動きは、仙骨を立てたままの身体の軸を意識し、自然な姿勢を取り戻すために有効です。 「身体の軸」を定めて、姿勢を正しく整えることは、身体のバランスを保ち、健康に必要な筋肉をきたえて維持します。これにより、身体の疲労回復を促し、健康寿命を延ばすことが期待できます。 和儀における姿勢改善の第一歩として、まず自分の姿勢を見直すことから始めます。猫背や巻き肩、反り腰、受け腰といった姿勢の問題を認識し、それを正す意識を持つことが重要です。そして、身体の軸を意識した動きを日常生活に取り入れることで、正しい姿勢を保ち、体幹をきたえることができます。 こうした姿勢の改善は、心身の健康を維持するための重要な要素であり、現代社会における多くの健康問題の解決策となるでしょう。