イグス、船用陸上給電システム提案本格化。停泊中のCO2排出削減に寄与
ケーブルやケーブル保護管などを販売するイグス(本社・東京都墨田区、社長・吉田剛氏)は新事業である船用陸上給電システムの提案を本格化させる。停泊中の船舶に地上から電力供給するためのもの。船舶のエンジンのアイドリングを止められることから、CO2排出削減に寄与できる。同社ではシステム全体を設計するほかケーブルや保護管、コネクタなどを組み合わせて供給。今後自治体や公的機関、海運・船舶会社などへの提案を強めたい考えだ。 同社はケーブル・保護管などの世界的メーカーであるドイツのイグス社日本法人として製品を販売。ケーブルについては産業機械やロボットの可動部などに用いるFAケーブルなどを手掛けている。 これまで港湾に停泊中の船舶はディーゼエンジンから船内電源を確保してきたが、船舶に陸上から給電するトレンドが世界で拡大。イグスグループではそのシステムで国際的に実績を有する。今後日本でもニーズが拡大すると見ており、日本法人でもそのビジネスを本格化させる考えだ。 システムは港湾の電気設備から船の給電口までの間を結ぶもので、充電用の機器を動かし適切な位置で給電する。イグスが得意とする摺動や屈曲などの動きに強いケーブルの特性が生かせる。イグスではケーブルや保護管、コネクタを組み合わせるほか、レールやモータをなどの動作機構を含めて全体の設計を担う。 日本国内では神奈川県の川崎港に導入された、電動タンカーに高速充電するために電源盤から船舶までをつなげるシステムで採用実績がある。陸上給電に対応する港の増加が見込まれる中、今後さらにビジネスを伸ばしていく考え。さまざまな技術を組み合わせて付加価値を確保する事業として期待しており、吉田社長は「中長期的に事業の柱になる」と話している。