Galileo Galileiが語る、アルバム2作同時リリースの意図、野球からの強い影響
ライブにも野球型とサッカー型がある
―「人への興味」ということでいうと、僕は「SPIN!」を聴いて、ポーター・ロビンソンを連想しました。去年は彼とのコラボがあって、来年はライブで共演することも決まっていますが、彼との出会いはバンドに何をもたらしましたか? 雄貴:コラボをしたときに、僕らに重ね合わせていろいろ思い出したことがあったのか、ポーターくんが涙を流してくれて、その衝撃がずっと残っていて。で、この間また別のタイミングでZoomでお話するタイミングがあったんですけど、そこでポーターくんに「『SPIN!』は僕の曲をイメージした?」って聞かれたので、「イエス」って言ったらめっちゃ笑ってました。ポーターくんは僕らも全然忘れてたような「ありがとう、ごめんね」って曲がすごく好きだってポストしてくれたり、今度のライブでも「四ツ葉探しの旅人」をやってほしいんだって言ってくれたり、ガチファンなんですよ。僕らは僕らでポーターくんの曲はずっと聴いてて、ガチファンだったので、こういう会話をしてるのがめっちゃ不思議というか、日本のアーティストともこんな会話はしたことなくて、「このサウンドはBBHFの、warbearのあれだよね」とか言ってきて、本当にガチガチのファンじゃんっていう(笑)。ポーターくんが僕らに影響を受けたと言ってくれるから、僕らも影響を受けたものを、お返事を書きたい気持ちがあって、もうこれはがっつりいっちゃおうと思って、それで「SPIN!」のメロディーを書きました。お互い文通してるみたいな感じになってて、それが楽しいですね。 ―ポーターくんが7月に出した『SMILE! :D』はかなりバンド寄りになっていて、影響を与え合ってるようにも見えて面白いですね。 雄貴:アルバムの一番最後の曲(「Everything To Me」)は「ありがとう、ごめんね」をイメージして書いた曲だって言ってました。話してると、マジで純粋な人で、壊れちゃいそうなぐらいピュアな人なんですけど、僕らの人となりが出てるものがポーターくんにも伝わったから、ライブにも誘ってくれたりするんだろうなって。 ―和樹くんはポーターくんとのコラボをどう感じてますか? 和樹:おそらくメンバーの中で自分が一番(ポーターの曲を)聴いてて。みんなで住み始めて、『PORTAL』を作った頃が、ポーター・ロビンソン、ゼッド、マデオン、スクリレックスとかの時代で、いろんな機材を、面白そうなおもちゃをいっぱい使って、電子音楽をやってる姿が自分にとってすごく魅力的で……。 ―武器商人のルーツがここにあったわけですね(笑)。 和樹:その当時からずっとポーター・ロビンソンくんは自分の中では本当にもうただただ憧れる存在だったので、だからいまだに現実感が全くないんです。 雄貴:この前のアルバムにはキツネ・メゾンの曲があって、それもすごく懐かしいなと思ったし、それこそポーターくんと会ったときに当時聴いてた音楽の話をしたら、ついこの間解散を発表したMEWの話になったりして、僕らとすごく被ってるんですよね。ポーターくんが前に出した曲で、すっげえMEWっぽい曲あるなと思ってて、そういう答え合わせも本人とできました。 岩井:同世代の邦楽のバンドより、食べ物も文化も場所も違うけど、同じ音楽を聴いてきた海外の同世代の方が心が通じ合うのって、すごいことだなって。 雄貴:前回のコラボレーションのときに、ポーターくんのチームのスタッフが、「ポーターは今みんなの影響でバンドをやりたいと思ってるんだ」って言ってて。 ―来年の来日はバンドセットらしいですね。 雄貴:僕海外アーティストのゲストで日本のバンド当てるのめっちゃ嫌いだったので(笑)、1~2回ガチで「いや、やめます」って言おうと思ったんですけど、ポーターくんだしなと思って、今回受けさせていただいたので、ちゃんとハートで出ていこうと思ってます。 ―『MANTRAL』の一曲目を飾る「リトライ」はどのような着想からできた曲ですか? 雄貴:「リトライ」は岩井くんがほぼ書いた曲です。バックトラックは他の3人が手を加えてるんですけど、メロディーラインはもう岩井くんの歌で乗ってる状態のやつをくれて、そこから僕が歌詞を考えて、曲にしたのが「リトライ」ですね。 岩井:『Bee and The Whales』のツアーが終わった後に、ミュージシャンとして稼いだお金で高いギターを買おうと思って、一生ものの一本だと思って、100万ぐらいするギターを買ったんです。ガリレオを一回抜けた頃の話に戻るんですけど、一時期死ぬほど貧乏になって、ギターとか機材を全部売っぱらったんですよ。そこからいろいろ苦労して、社会人になって働いたりとかして、またみんなで一緒に音楽をやるようになり、ガリレオが始動して、『Bee and The Whales』のツアーをやって、稼いだ金でまたギターを買って。 雄貴:そこまで長かったね。よく頑張ったよね。 岩井:すごいギュッと話しましたけど、その高いギターを買ったときに、いろんな思いがこみ上げて、ガリレオのメンバーのことを思って、一曲書いたんですよね。ガリレオをやめて、フロントマンとしてバンドをやり始めたわけですけど、ガリレオではギタリストなわけで、ギターを買って、ギタリストとしてやっていくことと、ガリレオのメンバーのことを書きました。ただとりあえず欲望のままに書いたけど、どうしようもないからメンバーに投げちゃえと思って、その曲が生まれ変わって、「リトライ」になったので、すごく思い出深い曲になりました。自分の曲を人に触らせるのがめっちゃ苦手だったんですけど、そこの壁がなくなった一曲でもあると思います。 雄貴:最初に聴かせてもらったときの歌詞は今の歌詞とは全然違うもので、本当にバンドに向けて書かれていて。岩井くんはよく「俺に向けて書いたんじゃないか?」みたいなことを言ってくるんですけど、それと逆で、「これ絶対俺らのことでしょ?」って思って、そのときパッと思い浮かんだのが、ブルース・スプリングスティーンの「Dancing In The Dark」で。当時の彼女か奥さんと一緒にステージの上で踊ってるライブ映像があるんですけど、それが思い浮かんで、闇の中で一緒に誰かと踊り続けてる絵がパッと浮かんで、その相手は結局岩井くんだよなって。もともと岩井くんが書いた曲が完全にこっち向きに作られてたので、さっきのポーターくんの話じゃないけど、これもお返事という感じで書いていて、大事な曲になりました。 ―先日再結成を発表した兄弟バンドの大先輩であるオアシスにも今のタイミングで聴いてほしい曲だなって(笑)。 雄貴:多分最初にリハに入ったタイミングで、ノエルがブチギレてスタジオ出ていくと思いますけどね(笑)。そういえばオアシスで思い出しましたけど、音楽というか、ライブにも野球型とサッカー型があるよね、みたいな話をよくしてて。オアシスはサッカーが好きじゃないですか。でもライブは野球型だと思うんですよ。ライブ演奏でいうと、ヴァンパイア・ウィークエンドはめっちゃサッカーって感じがする。ボールをパスして繋いでる感じが思い浮かぶけど、オアシスはパス回してないじゃないですか。個人で決められたものをやってるみたいな感じで、それでいうとガリレオはどっちだろうね?みたいな話をしたことがあって(笑)。そうやっていろんな楽しみ方をしていて、「これは野球型だね」みたいに考えたら面白くなってくるというか、「ってことは、誰がピッチャーで誰がキャッチャー?」みたいな、そういうのが最近すごく楽しくて。それが今のガリレオの茶目っ気でもあるし、軸の部分でもあるというか、楽しめる方法を自分たちで作ればいいじゃんっていう、今回の2枚はそのスタンスがすごく出てるなと思います。 ―人間の多面性を表現したアルバムの中に、いろいろな人の人生や物語が内包されていることがよくわかりました。アルバムが出てすぐツアーが始まるので、最後にツアーに向けて一言いただけますか。 雄貴:「Tour M」というタイトルになってますけど、完全にアルバムを表現するツアーになると思うので、最後に作った「KING M」という曲がすごく重要になってくると思います。今日の話もそうですけど、僕らは僕らが経験してきたことを変換して、音楽にしてるところがあって、今回のツアーは演劇的な要素を入れようと思っててるんですけど、その演劇もガリレオをずっと見てる人たちだったら気付くいろんな繋がりがあるものになっていて。アルバムのツアーなんですけど、結局ガリレオの今までの流れを一緒に追体験していけるような、そういうライブになると思うので、ぜひたくさんの人に来てほしいなと思います。 <リリース情報> Galileo Galilei 『MANSTER』 2024年9月25日(水)リリース 価格:3300円(税込) 3000円(税抜) =収録曲= 1. CHILD LOCK 2. SPIN! 3. MATTO LIFE 4. カメカメレオン 5. ナンバー 6. ブギーマン 7. ファンタジスト 8. MANSTER 9. ロリポップ 10. マイガール 11. PBJ 12. BABY I LOVE YOU 13. ヴァルハラ 14. KING M Galileo Galilei 『MANTRAL』 2024年9月25日(水)リリース 価格:3300円(税込) 3000円(税抜) =収録曲= 1. リトライ 2. 若者たちよ 3. 季節の魔物 4. オフィーリア 5. カラスの歌 6. カルテ 7. ブルペン 8. チャウダー 9. MANTRAL 10. 5 11. UFO 12. タタラ 13. きにしないでね 14. やさしいせかい.com <ライブ情報> Galileo Galilei Tour2024 Tour M 9月27日(金)札幌:Zepp Sapporo(18:00開場/19:00開演) 10月12日(土)福岡:Zepp Fukuoka(17:00開場/18:00開演) 10月13日(日)広島:HIROSHIMA CLUB QUATTRO(17:00開場/18:00開演) 10月19日(土)仙台:仙台PIT(17:00開場/18:00開演) 10月22日(火)愛知:Zepp Nagoya(18:00開場/19:00開演) 10月23日(水)大阪:Zepp Namba(18:00開場/19:00開演) 10月25日(金)東京:Zepp Haneda(18:00開場/19:00開演) 1階スタンディング/前売り¥5500(ドリンク代別)、2階指定席/前売り¥6600(ドリンク代別) 東京のみ:2階立ち見/前売り¥5500(ドリンク代別) ※広島、仙台は2階席無し ※東京、福岡は2階 : 指定席はSOLD OUT
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