Galileo Galileiが語る、アルバム2作同時リリースの意図、野球からの強い影響
ガリレオの中での野球ブームのきっかけ
―先行で配信された「SPIN!」はどんな着想から生まれた曲ですか? 雄貴:そろそろ曲を書くペースをもうちょっと上げなきゃ、みたいな頃だったんですけど、ここは自分の家なので、子供と奥さんがめっちゃ邪魔をしてくるわけですよ(笑)。そんな中でも一番熾烈な邪魔が入りまくった日があって、めちゃくちゃイライラして、怒りを込めて人をびっくりさせるような曲にしようって、シンセとかいろいろぶち込みまくってできた曲です。で、サウンドを作ってる中で音が回転してるイメージがあって、実際曲の中でLRに振ったりしてるんですけど、それこそキャッチボールを本当にいつもしてて、変化球を投げれるようになりたくて、公園でずっと練習してて、そこでも回転をすごく意識してて。「ブルペン」でも書いたんですけど、僕らミュージシャンは0から1を作ることを何回も繰り返しやってるわけですけど、スポーツ選手は最適化したものをさらに最適化していくっていうのを継続してずっと続けてるじゃないですか。そこに自分が人生でずっと繰り返しやってるルーティンとか、自分に起こってる上がり下がりがちょうど重なって、それが「SPIN!」とも合わさったんです。さらに言うと、僕の娘のすずめちゃんは18トリソミーという障害を抱えて生まれてきて、そもそも生まれる確率すら低いし、生まれてもすぐ亡くなっちゃうことが多い病気なんです。心臓病を一緒に患うことが多くて、だから心臓について考えることも増えて、そういうことが全部ガチャンって合わさって、「SPIN!」になりました。それで楽曲の全体像ができたときに、野球の映像と合わせたんですよ。 ―さっきの「ヴァルハラ」もそうですけど、ガリレオはよく映像をインスピレーション源に曲作りをするわけですよね。 雄貴:「SPIN!」をファイターズのスーパープレー集に合わせてみたらめちゃくちゃフィットして、「ファイターズガールが踊ってくれたりしたらめっちゃ良くない?」と思って、趣味でファイターズガールが踊ってる映像に合わせたやつとかも作ってたら、結果実現しちゃったんですよね。 ―エスコンフィールドでライブをしたんですよね。YouTubeで見ました。 雄貴:こんなこと言っちゃいけないと思うんですけど、武道館でライブをやるより全然嬉しくて、初めて自分たちに舞い込んだライブの話で心から爆上がりしたなって(笑)。それも言ったらすずめちゃんがくれたチャンスですし、人生を楽しく生きるためにみんないろいろやっていて、それが曲になって、自分たちの希望や夢を自ずと叶えてくれるんだなっていうことを実感しました。 ―だからユニフォームの名前が「SUZUME」だったんですね。 雄貴:18トリソミーの親御さんはいっぱいいて、重さはそれぞれ違うと思うんですけど、勇気を与えたいなって。呼吸器が必要ではあるけど、僕はすずめちゃんを連れて野球の試合を見に行ったりしていて、自分がやるべきこともやりつつ、一緒に生きていけるんだよっていうのを知ってほしいなと思って、背番号も18番でお願いしました。 ―ちなみに、ここまで頻繁に野球の話題が出てるわけですけど(笑)、いつからガリレオの中で野球がブームになったんですか? 雄貴:去年からですね。野球自体にはもともと興味があって、「夏空」は自分が中学生のときにした経験から作った曲なんです。俺のことをめちゃめちゃいじめてくるクソみたいなやつがいたんですけど、そいつが中学校の野球部のピッチャーをやってて、僕は吹奏楽部でトランペットを吹いてたから、強制的に応援の曲を覚えて行かないといけなくて。でもマウンドに上がってきたそのクソ野郎がめちゃくちゃかっこよかったんですよ。あのときの記憶はすごく強くて、マウンドに上がるピッチャーの姿はずっと心の中にあって、warbearも含めて歌詞の中に野球のシーンが出てくることは結構あるんです。ただ野球自体を本気で見ようと思ったのは、去年のクライマックスシリーズからですね。僕の奥さんのお母さんが関西人で、ゴリゴリの阪神ファンで、一緒に阪神の試合を見るといろいろ説明してくれるんですけど、そこで野球はキャラクターものだなと思って。1人1人の選手の顔とか、ちょっとした仕草とかがめちゃくちゃエモーショナルに映って、野球めちゃくちゃ面白いかもと思ったんです。そこからしばらく阪神を見てたんですけど、北海道なのでファイターズも調べてみようと思ったときに、岡崎くんはもともと野球をやってて、しかもすげえ詳しかったんですよ。僕がわかってなかったルールとか、選手のこととか、その人が何を成し遂げた人なのかとかも全部教えてくれて。そこから一緒にファイターズを改めて好きになって、みんなでグローブを買いに行き、キャッチボールをして、カーブが投げられるとめっちゃ楽しくなって、それで今に至る感じです。 岡崎:自分は小学校から野球をやってたんですけど、まさかエスコンフィールドでライブができるなんて、そんなことは一切想像もしてなかった中で、こういう未来があるのはすごく素敵だなと。ボクシングもすごく好きなので、いつかボクシングっぽい感じの曲も作りたいです(笑)。 雄貴:一時期僕が「はじめの一歩」にどハマりしてて、そのときに「ヴァルハラ」ができたんですよ。 ―確かに、「ヴァルハラ」の歌詞はちょっとスポ根感ありますね。 雄貴:岡崎くんは好きにさせるのが上手いんですよ。僕ボクシングのこと全然知らないのに、井上尚弥の試合、ちょっと泣きましたもんね。それぐらいドラマチックに語ってくれるんです。 ―オリンピックとかにしても、競技のことはよく知らなくても、そこにある選手それぞれのストーリーを知ると、めちゃめちゃ面白いですもんね。 岩井:尾崎雄貴という人間は、完全に人への興味の塊なんですよ。僕は15年前に初めて出会ったときから、「なんて人に興味があるんだろう」と思ってます(笑)。