「更年期に痩せていくのはなぜですか?」女性の体の悩みに産婦人科医が回答
女性の体ならではの、ちょっとした悩みや疑問。病院に行くほどでないけど、専門家の意見を知りたい。そんな気持ちに、産婦人科の先生がアンサー! 【写真】更年期のエストロゲンの変動が肌に与える6つの影響 ※この記事は、診断の代わりとなるものではありません。症状について不安がある場合には、必ず医師または資格を有する医療従事者の助言を仰いでください。 ▼産婦人科医・上野啓子先生 東京医科大学産科婦人科学教室病院助教。医学博士、産婦人科医の指導医、生殖医療専門医、女性ヘルスケア専門医などを取得し、不妊治療や女性医学を得意とする。
Q、更年期に入って、痩せていくのはなぜですか?対処法があれば教えてください。
A、更年期は一般的には太りやすくなるもの。甲状腺疾患や癌や鬱など、他の病気が潜んでいる可能性もあるので、更年期のせいと決めつけず、診察を受けることが大切です。 更年期とは閉経の前後5年ずつの約10年程度の期間を指します。そして一般的に、更年期には太りやすくなると言われています。 その原因とされているのが、“エストロゲン”という女性らしさを作るホルモンの減少によるもの。エストロゲンは生殖器官を維持させる働きを持ち、丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用があるとして知られていますが、他にも、筋肉量を維持するために糖を送って動きを良くする働きがあります。 本来は月経~排卵の間に分泌量が増えるのですが、閉経前後にエストロゲンがガクンと減ると、糖代謝が悪くなり、肥満や糖尿のリスクがアップ。よって、更年期に太りやすくなるのです。 とはいえ、更年期に痩せるという方もいますが、その場合は、更年期であること以外の原因を疑う必要があります。 そもそもこの年代は、筋肉量や免疫力が下がり、ホルモンバランスにも大きく変化が見られる頃なので、様々な病気のリスクがつきもの。例えば、ホルモンが乱れて心身不調が現れたり、甲状腺機能亢進症という甲状腺疾患によって新陳代謝が過剰になり、たくさん食べても痩せることが。癌や消化管の病気が増える年代でもあります。 これらの異常がないと分かって、初めて“更年期障害”と定義されるのです。 体重減少は何らかのサインなので、何でも更年期のせいと決めずに、不安を感じたら病院を受診しましょう。その上で、痩せた理由が単なる食欲不振と分かったら、食欲を戻すための漢方や吐き気止めの薬を服用するといいでしょう。