「沖縄密約文書」不開示に 情報公開の立証責任とは? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
最高裁判決をどう見るか
常識で考えて市民が情報公開請求をする文書は国や行政側にとって差はあるにせよ都合が悪い内容が含まれている可能性があります。言い換えればそう疑うから請求するので。その「不都合な真実」があると請求者が証明しないと「ない」と行政側が言い張れば「ない」で通ってしまいます。捜査権もない市民がどうすれば立証できるでしょうか。そうした疑念を残す最高裁判決でした。 ただ光明もあります。密約がかつて存在したのと、是非こそ問わなかったものの司法が「文書の廃棄」をする可能性が役所にあるとの認識は確定した点です。2011年4月からは行政機関に都合の悪い公文書を勝手に処分しないよう廃棄に首相の同意が義務づけられた公文書管理法が施行されています。公文書は私たち市民の名誉や身分、存在の証明などを示すものも多々あります。勝手にシュレッダーされてはたまりません。
--------------------------------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】