タイのアートシーンについて、ふたりのキーパーソンが解説!「現代アートのギャラリーが急激に増加」
バンコクの勢いを体感できる、お薦めのアートスポット
バンコク・シティーシティー・ギャラリー 巨大なホワイトキューブの中で出会う、次世代のアーティストたち バンコクで活動する若いアーティストたちが、十分な広さで展示するスペースがないことを危惧した、アートコレクターのスパマートとアカポンが、元駐車場だった敷地に真っ白なギャラリーを建設。広さ200㎡、天井高6mという大きなホワイトキューブをもつアートスペース「バンコク・シティーシティー・ギャラリー」が2015年に誕生した。 アートの枠に縛られることなく、音楽ライブやクラブイベント、フィルム上映など、自由な活動体を目指す。さらに、観客が単に作品を鑑賞するだけで終わらない展示手法もユニークだ。観客自身になにかしらのアクションを促し、作品の中に入り込ませる参加型の展示にも積極的。また、ギャラリーにはショップも併設し、展覧会関連書籍のほか、オリジナルプロダクトを販売している。 企画展は2カ月に1度のペースで開催。それ以外にも、白壁を活かした屋外のプロジェクションプログラムや参加しているバンコクアートブックフェアなど、多様なイベントを実施している。 来年末に完成予定の大型複合施設、ワンバンコクからわずか1ブロックの場所にあることから、今後さらに人気のスポットとなることが期待されている。 ホップ(ハブ・オブ・フォトグラフィ) ショッピングモールに入った、熱量あふれる写真専門ギャラリー バンコク唯一の写真専門ギャラリー「ホップ(ハブ・オブ・フォトグラフィ)」があるのは、市東部にあるショッピングモール、シーコンスクエアの3階。1994年に完成した地域密着型のモールは、近年アパレルショップが撤退した代わりにアート&カルチャー事業者を誘致。そこで最初に名乗りを挙げたのが「ホップ」だった。 写真家として活動していたシリ、トム、マリッサの3人が中心となりつくり上げたスペースは、2カ月おきに国内外の写真家の企画展を開催するメインギャラリーと、若手を中心に紹介するサブギャラリーで構成。そして3人がセレクトした国内外の写真集が自由に閲覧できるライブラリーが揃う。 現代美術の中でも、写真を鑑賞する文化はタイではあまり馴染みがないため、SNSを活用して毎月イベントや他の美術施設と連動したリサーチプロジェクトを開催。若手の育成も考え、奨学金プログラムも行っている。 日本国内でも展示されたガモンラック・スクチャイに代表されるように、タイの写真芸術は、色鮮やかで濃密なテイストのものが印象的だ。「ホップ」では、この国がもつ多様で複雑な社会の中で生きる人々の、力強いエネルギーを映し出すものも多数見られる。