タイのアートシーンについて、ふたりのキーパーソンが解説!「現代アートのギャラリーが急激に増加」
アット・ナインティーン アートとファッションとフードが、一堂に会するカルチャー拠点 バンコク最古の車道でありカルチャー&グルメの新たなトレンドの発信地としていま再び注目されるジャルンクルン通りにある「ATT19」は、アート、ファッション、フードの要素が融合する気鋭のカルチャースポットだ。オーナーのポーンティップ‘ムック’アッタガンウォンは、オーストラリアとアメリカでファッションを学んだ後、タイに帰国。元学校だった築100年超えの木造建築を改装し、1階にアンティークのセレクトショップと妹が運営するレストラン、2階にアートギャラリーが入る複合型施設を2019年にオープンした。 「宗教美術をはじめとする伝統表現とは一線を画したパワフルな作家が次々に誕生しているのに、彼らが作品を発表できる場が少ないのも事実。ここでは2カ月に1度のペースでタイの若手作家を中心とした企画展を開催。ギャラリーとショップや飲食店とを融合することで美術鑑賞のハードルを下げ、誰しもが日常的に現代アートに触れられる場になればいいなと思っています」 ヴィンテージとコンテンポラリーが混じり合う内装や家具が生み出す空間は、SNS用の映えスポットとして若者の間で人気となっているようで、制服姿の学生たちの姿も時折見られる。 ガリレ・オアシス 古きよき景色と現代的な感覚が、見事に融合した新施設 バンコク中央を流れるセンセーブ運河沿いの北側、バーンクルア一帯を散策すると、開発を逃れた古い街並が未だに見られる。ここに立っていた労働者階級の住宅を大改装し、2021年に誕生したのが「ガリレ・オアシス」だ。 クルマが通れない細い路地を進むと、目の前に突然緑豊かな中庭が現れる。そのまわりをぐるりと囲む趣ある建屋は、以前使われていた窓枠や手すりなどの建具から家具に至るまで、可能な限り再利用して改装したもの。館内には、ギャラリーのほか、カフェ、レストラン、ショップなど10店舗が揃い、2階部分は宿泊施設になっている。感度の高い人々が集結するカルチャースポットを目指し、ギャラリーではタイの若手作家にフォーカスした展示をコンスタントに開催。さらに、地域と連携した活動として、キッズアートや環境プログラムも随時行われている。施設内には小規模ながら劇場も併設。演劇や音楽ライブなどのイベントにも力を入れている。 新旧のバンコクを同時に感じられる場所として、いまや大人気のスポットに。混沌としたバンコクの喧騒から一歩離れ、ポーチに置かれた椅子に座って、「ガリレ・オアシス」に流れるゆったりとした時間を堪能するのもいいだろう。