元夫に居場所を知られずに「生活保護」を受給できますか?DVが原因で離婚しました…
生活保護を申請すると、親族に対して「扶養照会」が行われることがあります。 扶養照会に応じることで縁を切りたい相手に居場所を知られてしまう可能性がある場合、拒否できるのかを確認しておきたいという方もいらっしゃるでしょう。 本記事では、扶養照会が行われる目的や対象者の条件とともに、扶養照会が実施されないケースについてもご紹介します。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
「扶養照会」とは?
生活保護の受給要件の一つに「親族などから援助を受けられる場合は、援助を受ける」というものがあります。 生活保護法第四条では「親族など扶養義務者からの扶養は保護に優先して行われるもの」とされており、生活保護を申請する前に、親族などから援助を受けられないかどうかを確認するための「扶養照会」が行われます。 厚生労働省によると、生活保護の申請が行われた場合には、まずは申請者への聞き取りなどにより、扶養義務者の存否が確認され、存在が確認された扶養義務者については、扶養の可能性の調査が実施されるということです。 この可能性調査により「扶養義務の履行が期待できる」と判断された場合は、関係先などでの重点的な扶養調査が行われます。
離婚した相手が扶養照会の対象になることはあるのか?
民法第八百七十七条によると「扶養義務者」に該当するのは直系血族および兄弟姉妹であり、特別な事情があるときは、三親等内の親族にも扶養義務が生じるとされています。 つまり、離婚した元配偶者は扶養義務者に該当しないため、生活保護を申請しても、元配偶者のもとへ扶養照会の案内がいくことはないと考えてよいでしょう。 ただし、申請者の子どもにとっては、元配偶者は扶養義務者に該当するため、子どもを通じて居場所が知られてしまう可能性はあるでしょう。 そのため、DV(ドメスティック・バイオレンス)が原因で離婚した元配偶者に居場所を知られたくない場合は、扶養照会が行われないようにする必要があります。
扶養照会は拒否できるのか?
扶養照会の際には、申請した福祉事務所の所在地が扶養義務者に伝わります。元配偶者からDVを受けたことで離婚した場合には、扶養照会が行われることで居場所を知られてしまい、危険な目に遭うことも考えられます。 厚生労働省によると、このような事情がある場合は「扶養義務の履行が期待できない」と判断されて、扶養照会は行わないことがあるということです。生活保護申請時には、扶養照会を拒否したい旨を理由とともに伝えましょう。