過去を想う人、現在に没頭する人、未来を見つめる人…3つのタイプの時間感覚
過去を悔やんだり、無計画で困ったり、未来を恐れたり。過去、現在、未来といった“時”は、私たちの心にさまざまな思いを運んできます。“時”がもたらす感覚は人によって違うのですが、自分自身がいったいどのように時を感じながら生きているのか気づいていない人も多いでしょう。 【写真】過去を想う人、現在に没頭する人、未来を見つめる人 今回は3つのタイプの時間感覚をご紹介します。あなたは、どのような時を、どのように感じがちですか? 他の人が、どのような時を、どのように感じているか知っていますか?
もしかして、それって後悔ですか?
今から十年以上も前のことです。知り合いから「中村さんに相談があります」という連絡が入りました。私より十歳ほど年長の男性の方からです。 なんだろうと思いつつ、当日、私はその人の話をじっと聞いていました。しばらく話を聞いていても、いったいなにで苦しんでいるのかさっぱりわかりません。それでもじっと話を聞き続けていると、「あの時、こうしておけばよかった」、「あの時は、あちらの進路を選んでおけばよかった」というエピソードが繰り返されていきます。それで私は「もしかして、それって後悔ですかっ?」と聞くと、「そうです」とのことでした。 実際、目の前の男性はひどくつらそうで、私はその時はじめて後悔とはこんなにも人を苦しめるものなのだということを目の当たりにしました。どれだけ苦しくても過去は変えられません。変えられないものがもたらす苦しみから抜け出すことは、とても難しいものです。後悔の苦しさはここにあります。 ところで、この男性の苦しみを私がスッと理解できなかったのは、私には後悔で苦しむ経験がなかったからです。もちろん、私だって後悔がどういうものかはおおむね想像はできますし、それらしい感情を持ち合わせて生きてきたつもりでした。ですが、目の前の人のように苦しんだことはありませんでした。むしろこの時、私は自分に後悔という感情がすっぽりと欠落していることに突如として気づき、いくらか恐ろしい気持ちにすらなりました。 過去を強く感じる人、今に埋没している人、未来に思いを馳せる人。過去、現在、未来。時の感じ方も、それらがもたらすさまざまな思いも人によって違うということを、この時、私は知ったのでした。