不動産投資初心者「格安の土地」に飛びついて大後悔…不動産専門弁護士が教える、恐ろしく面倒くさい「道路の問題」の具体例
不動産投資初心者にありがちなのが「価格の安さ」に目が向いてしまい、そこに潜む「ウィークポイント」を見逃してしまうことです。格安の不動産には必ず理由があり、面倒な問題がついて回るなら、決してお買い得とはいえません。今回は、土地の価値を大きく左右する接道の問題について見ていきます。不動産と相続を専門に取り扱う、山村法律事務所の代表弁護士、山村暢彦氏が解説します。 都道府県「遺産相続事件率」ランキング…10万世帯当たり事件件数<司法統計年報家事事件編(令和3年度)>
せっかく買った土地、道幅が狭くて建物が建てられない!?
現在の日本の法律では、幅4m以上の道路に、最低2m以上接道していない土地の場合、建物は建てられません。これを「接道義務」といいますが、この条件が満たされないと、正式に建築確認が下りず、適法に建物を建てることができないのです。 幅4mというのは、車ですれ違うことが可能な、かなり広い道路です。しかし、道路の幅が4mに満たない場合でも、自分の敷地内を道路として提供し、その分後退することによって、建築許可が下りる「セットバック」という制度があります。 たとえば、道路が2.8mだった場合、不足分の1.2mを、左右の敷地内から60cmずつ道路として提供すれば、細い道路でも建物が建てられるようになるのです。そのため、広い道路に面していた場合、セットバックがいらないぶん、建物を広く建てられるという利点があります。
建設資材の運搬、車両が入れず「人力」になるケースも
道路付けに関しては、もう一点、見落としがちなポイントがあります。車両通行できない道路に面していた場合、建て替えの際にトラック等での建設資材の搬入ができないため、大量の資材を人力で運ぶことになってしまいます。 簡単なリフォームなら問題ありませんが、建て替えをする場合、最終的な建築費用が大幅に増額してしまう可能性があるので、注意が必要なのです。 さらに私道の場合、物理的に通行可能かどうかという問題とは別に、通行における権利的な問題も生じます。
「通らせていただけますか…?」接道が「私道」の場合の問題点
道路には、公の道である「公道」と、個人の所有する土地である「私道」の2つがあります。 土地に接しているのが公道であれば、当然、国の持っている道路なのでなにも問題ありません。一方、私道の場合は「人の土地を通っていいのかどうか」という問題が生じます。 ただし民法210条では、周りが囲われており、道路に接していない囲繞地(いにょうち)は通行権を認めるという制度があります。しかし、この通行権という制度はかなり限定的です。基本的に、私有財産を法律によって制限する権利なので、周りの人の迷惑にならない程度で通行権を認めるのが基本です。そのため、例外的に車の通行権が認められる裁判例もありますが、原則として徒歩前提になってしまいます。 一方で、私道でありながら「行政に認定されてる道路」というものもあるので、不動産を購入する際には、よく不動産会社・仲介会社に話を聞いたうえで、どういったリスクがあるのかを考えていくことが必要です。
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