開業前の県立美術館でウェディングフォトはいかが 展示室の真っ白な壁は今だけ、2人きりの思い出に
3階まで吹き抜けの広間には大きな窓から柔らかな光が注ぎ、まだ何も飾られていない展示室の真っ白な壁が広がる美術館で、カップル2人きりの撮影はいかが―。 来年3月末に開業を控える鳥取県立美術館(同県倉吉市)で、ウエディングフォトの撮影イベントが人気だ。まだ来館者のいない館内で人目を気にせず撮影ができる、今だけの特別感が売りだ。 これまで県立美術館を持たない、全国でも数少ない存在だった鳥取。念願の美術館は、今年6月に亡くなった世界的な建築家・槙文彦さんが率いた事務所が設計に関わった。水平に広がる大屋根が印象的な外観を持ち、天井や床には県産の杉をふんだんに使用。目の前の芝生広場に国史跡の廃寺跡がある。 施設自体は今年3月に完成したが、建物から空気中に放出される化学物質が作品に悪影響を及ぼす可能性があることから、現在は館内の空気を循環させて換気する期間に入っている。 県は新築の美術館をいち早く楽しんでもらうため、オープン前の建物を活用するアイデアを募集。寄せられた案を基にウエディングフォトの企画が実現し、これまで2組のカップルが撮影した。他に複数のカップルが希望しているという。
美術館では他のイベントも行われ、7月には展望テラスで飲食を伴う納涼祭、8月には地元倉吉市の金管バンドの演奏会が開かれた。コスプレ撮影会や成人式の前撮りも企画されている。 広報などを担当している県地域社会振興部美術館の生田憲一郎係長は、「作品を見るだけではない、美術館の可能性を来館者と一緒に探していきたい」とほほ笑んだ。 ウエディングフォトの撮影申し込みは同美術館、電話0858(47)3011。