それは本当に<躁うつ病>?感情の起伏が激しい人が犯しがちな勘違いとは…精神分析医「感情は音楽のようなもの」
◆自らの感情に左右されることに耐えられない 近頃の子どもたちは、親の過度な愛情と期待のせいで感情過多な状態に陥っている。事もあろうに、子どもの感情を代わりに処理してしまう親もいるほどだ。 例えば、ある親は子どもが腹を立てて興奮すると、その感情を子ども自身が処理するまで待てず、代わりに立ち上がって戦おうとする。 すると子どもは腹が立っても、その感情の処理方法を学べない。 そんなことがくり返されれば、子どもは自分の感情を正しく理解することができず、戸惑って感情が湧くこと自体を恐れるようになる。 また、小さい頃から過度にコントロールされて生きてきた人たちは、コントロールを受けることに対して極度の抵抗感と怒りを覚える。 彼らは自らの感情に左右されることに耐えられない。 だから、どんな感情も押さえこもうとして、自分は双極性障害ではないかと疑い不安を抱くのだ。
◆神からの贈り物 感情は私たちの人生において音楽のようなものである。私たちの内的世界と外的世界が出合うことで生まれる一種の合唱のようなものだ。 だから恐れることはない。感情は楽しむべきものであり、人間だけに与えられた神からの贈り物だ。 したがって、あなたが感情の起伏の激しさに苦労しているというのなら、その感情が発する声に静かに耳を傾けてみるといい。 激しい感情は、心に何らかの葛藤があることのサインだから、その原因さえ把握できれば問題解決のための力が生まれ、感情の起伏にも苦しまなくなるだろう。 だから今後は、「感情は常にフラットなのが正常で、そうでなければ異常だ」という勘違いを取り払い、どんな感情でも全身で感じてみることだ。すべての感情は正しいものなのだから。 ※本稿は、『「大人」を解放する30歳からの心理学』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。
キム・ヘナム,渡辺麻土香
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