「モテないやつは出世できない」――オスを“品定め”するメスザルのシビアさは真夏の怪談よりも怖かった!【和田秀樹×池田清彦】
ライオンが「子殺し」する理由は
和田 いわゆる「二股」のようなことは、動物の世界でもあるのですか? 池田 よくあるね。たとえばライオンの場合、「プライド」と呼ばれる群れを3匹くらいのオスが率いていて、その周りに十数頭ものメスがいる。プライドのオスは発情したメスと順番に交尾していくの。 和田 二股というより、「やりたい放題」といったほうが近いですね。 池田 そうね。理由は、どのオスの子かわからなくするためだといわれている。 ライオンのオスには「子殺し」という行動がみられ、自分の子じゃないと殺してしまう。群れを乗っ取った新顔のオスは、そこにいる子どもをすべて殺してしまうわけだ。 残酷にみえるけど、そうすることでメスが発情しやすくなって、いち早く自分の子どもを妊娠させることができる。自分の遺伝子を残すために殺す、これも本能に組み込まれた行動だけど、不特定多数を相手にした交尾であれば誰の子かわからないから殺さずに済むし、「群れの子ども」として育てることができるわけだ。 和田 すべては自分の遺伝子を残すためなのですね。 ※新潮新書『オスの本懐』より一部抜粋・再編集。
デイリー新潮編集部
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