復興は「地方創生への橋渡し」 経験・ノウハウ残すことも“使命” 復興庁・末宗事務次官
東日本大震災からの復興を目的に設置された復興庁。復興に関する「国の施策の企画、調整、実施、地方のワンストップ窓口」などを主な役割としている。当初は震災から10年となる2021年3月までが設置期限とされたが、政府はさらに10年延長する方針だ。では、復興庁はこれまで何を成し遂げ、何を成し遂げられなかったのか。そして、同庁が目指す「被災地の復興」とはどのような姿なのだろうか。事務方トップの末宗徹郎事務次官に話を聞いた。
Q:復興庁設立の経緯を教えてください。
東日本大震災は地震、津波、原子力災害が同時に起きた「複合災害」であるとともに、被災地域が非常に広域にわたりました。また被災したのは財政力が弱い自治体が多かったのです。
これまで経験したことのない大災害だったため、復興に専念する組織を設けるべしということが議論となり、復興庁ができました。総理が主任の大臣であり、かつ復興大臣を置くという非常に重みのある組織です。各省庁に対して勧告権を持つなど他の省庁よりも一段高い立場と言いますか、総理の強力なリーダーシップの下で復興を担当する強い体制で立ち上がりました。
Q:各省庁では「縦割り行政の弊害」が指摘されがちです。
おっしゃる通りです。復興庁がなければ、被災者支援だと厚生労働省、インフラだと国土交通省とか、対応がバラバラになってしまいかねないので、縦割りを排し、復興に対して総合的・一元的に対応する組織が作られたわけです。
被災地の立場から見て(1か所に相談すれば解決する)ワンストップの窓口であることが大事です。地元が復旧や復興で大変バタバタしているときに、厚労省かなとか、国交省かな、総務省かな、ということではなくて何かあればまず復興庁に、と。どこの省が担当か分からない課題があった場合もまず(復興庁が)受け止めます。 今回、復興庁の2021年度以降の延長を検討するにあたっても、被災自治体からは、(1)一元的窓口(2)省庁横断的な調整、という復興庁が担ってきた機能をしっかり残してほしいという声がありました。