肺がん疑い見落とし、治療開始1年半遅れ 徳島市民病院が患者に謝罪
徳島市民病院は27日、コンピューター断層撮影(CT)検査で見つかったがん疑いの所見を患者に伝えず、治療の開始が約1年半遅れる医療ミスが起きたと発表した。病院は患者と家族に謝罪した。 病院によると、70代の男性患者が昨年5月、脳動脈瘤(りゅう)の手術のため入院。手術前のCT検査で放射線科の医師がリポートに肺がんの疑いがあると記載したが、脳外科の主治医が見落として患者に伝えず、精密検査もしていなかった。 今年11月、この患者が別の病院からの紹介で再び市民病院に来院した際、内科のCT検査であらためて肺がんの疑いがあることが判明。医師が過去のリポートを調べた結果、昨年5月の時点で肺がんの疑いの記載があったことに気づいた。 病院は今年12月、精密検査で肺がんの診断が確定したことを患者や家族に伝え、昨年のリポートの精査が不十分で治療開始が遅れたことを謝罪した。 病院によると、脳外科の主治医は脳動脈瘤の治療に意識が集中し、肺がんの疑いの記述に注意が行き届かなかったという。 同病院は再発防止のため、今後はリポートを主治医だけでなく、院内の医療安全対策室でもチェックするなど対策強化をする。中野俊次院長は「患者やご家族に大変な苦痛をおかけし、心より深くおわび申し上げる。チェック体制を強化し、再発防止に取り組む」とコメントした。(吉田博行)
朝日新聞社