ポルシェのターボに、期待しかないワケとは? 歴代モデルに乗って分かったその魅力を考える
特別な存在感
最後にステアリングを握ったのは、先日マイナーチェンジを行なったばかりの「タイカン ターボ」。そう、電気自動車だ。当然ながら、その走りは全域スムーズで、そして至極パワフル。しかも、さすがポルシェらしくこちらの意を汲むドライバビリティが心地良い。なるほど、ターボチャージャー付きのエンジンで目指してきた走りの世界が、電気自動車で完全に結実したというわけだ。 そう、今や911カレラのエンジンもターボチャージャー付きとされているが、依然としてモデルレンジの頂点には911ターボが君臨している。電気自動車のタイカンやマカンも、やはりターボが最高峰グレードだ。 おかしいだろうって? ポルシェにとって、それは決しておかしなことではない。ポルシェにとってターボとは、ターボチャージャー付きエンジンの搭載を意味するわけではなく、技術の粋を集めた最高峰モデルの称号なのである。 尚、ポルシェは今後のターボ・モデルのクレストエンブレムなど各部に、専用カラー「ターボナイト」を採用していくという。動力性能、テクノロジーだけに加えて特別な存在感を、改めて強調していくつもりのようだ。今回のワークショップは、ポルシェのターボにかけるそうした意気込みを示すものだったのだろう。 ここに来てポルシェは、他の多くの欧州メーカーと同じくBEVシフトへの流れを見直して、PHEVや内燃エンジン車の開発にも改めて力を入れていく旨を宣言したところである。これからのポルシェのターボに改めて期待したい。
文・島下泰久 編集・稲垣邦康(GQ)