<頂点へ>2020センバツ明石商/4 1年生の抜てき奏功 /兵庫
センバツ出場校選考の最重要資料となる秋季近畿大会が2019年10月、奈良県橿原市で開幕した。兵庫第2代表の明石商の初戦(1回戦)は大会第2日の同月21日。相手の京都第2代表・東山は、府大会で福知山成美や龍谷大平安などの強豪を次々に倒してきた強打のチームだ。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 県大会は万全とは言えないチーム状態で準優勝に終わった明石商。決勝での敗戦後、狭間善徳監督は「対策を考えたい」と語っていた。その言葉通り、この日は打線を大胆に組み替えてきた。 県大会まで3番を打った中堅手の来田涼斗主将(2年)を昨夏までの1番に戻し、5番だった井上隼斗遊撃手(2年)を2番、4番だった植本拓哉一塁手(2年)を3番に変更。2番だった宮城光伸二塁手(2年)を5番に据えた。 最も驚かせたのは、4番に1年の福本綺羅(ひかる)右翼手を抜てきしたことだ。県大会では準決勝と決勝で1番に起用されて7打数2安打。2本とも二塁打というパワーヒッターぶりに、狭間監督も「どんな場面でも動じない。心臓に毛が生えているようだ」と舌を巻いていた。 試合が始まると、新オーダーが見事に機能した。三回、2四球と2番・井上遊撃手の内野安打で無死満塁とすると、3番・植本一塁手の押し出し四球で先制。さらに4番・福本右翼手の右前適時打、5番・宮城二塁手の右中間3点二塁打で一挙5点を挙げた。 福本右翼手は六回に送りバントも成功させるなど、この日は5回打席に立ち、2安打2四球1犠打と大活躍だった。福本右翼手は、同じ左打ちの来田主将からアドバイスを受けたといい「おかげでライナー性の強い打球が飛ぶようになった」と語り、「憧れの先輩」に感謝した。 投げては先発の中森俊介投手(2年)が被安打7の11奪三振で3失点完投。中盤まではなかなか制球が定まらなかったが、狭間監督から交代を打診されて「いきます」と続投を志願。六回以降は無安打に抑えた。 センバツへ一歩近づく快勝だったが、試合後の狭間監督は「中森と来田がもっとやらないといけない」と語った。もちろん、2人には高いレベルの要求に応える力があるからこその厳しい言葉だった。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇19年秋季近畿大会の記録 ▽1回戦(10月21日、奈良県橿原市・佐藤薬品スタジアム) 東山 000120000=3 00510110×=8 明石商 (東)渕田、布施、梅谷―吉田 (明)中森―名村 ▽二塁打 安田、原、坪井、福島(東)宮城、中森(明) 〔神戸版〕