ローソン「ふるさと納税」参入。狙いは「シナジー効果」と「Ponta経済圏」拡大
ローソンが12月3日から、ふるさと納税に参入する。専用サイト「ローソンふるさと納税」を開設し、チケット販売などで培ったエンタメ分野でのノウハウを活用したオリジナル返礼品の開発や、ポイント還元による「Ponta経済圏」拡大を狙う。ファミリーマート、セブンイレブンのコンビニ主要3社では初の試みとなる。 【画像をみる】ローソンの「ふるさと納税」の返礼品、国内のふるさと納税額の推移の詳細(全5枚)
主要3社で初。「艦これ」コラボの返礼品など5000品目用意
専用サイトからユーザーが好きな返礼品を選ぶ形で、開始時には38自治体、約5000品目を取り揃える。返礼品としては例えば、DMMが手がける人気ゲーム『艦隊これくしょん-艦これ-』とコラボしたお酒(広島県呉市)や、新江ノ島水族館のぬいぐるみくじ付きの入場チケット(神奈川県藤沢市)といったローソンオリジナルの返礼品や、ローソンファームで収穫した野菜(北海道岩内町)などがあるという。 ふるさと納税は、地方創生の一環として2008年にスタートした。2023年度の寄付額は、前年度対比約16%増の1兆1175億円だった。寄付件数も同約14%増の5895万件でともに過去最高を記録している。 節税効果を求めて今後の利用者拡大も見込まれる中、ローソンが新規参入した背景には「シナジー効果」と「Ponta経済圏」の拡大がある。 ローソンはこれまで、グループ会社のローソンエンタテインメントが運営する「HMV&BOOKS online」や「ローソンチケット」などで、アニメグッズやコンサートチケットなどエンタメ分野でのユーザーを多く獲得していた。一方で、総務省が公開するデータを見ると、寄付額全国1位の宮崎県都城市を筆頭にふるさと納税では食品の返礼品が多い傾向がある。 すでに、「ふるさとチョイス」「さとふる」などを筆頭に先行する主要サービスがある中、「ふるさと納税とエンタメ分野の組み合わせなら、今から参入しても十分に勝機があると思った」(ローソン広報)という。 これまで、「地域密着」をスローガンに、地方にも積極的に出店し、お中元やお歳暮など土地柄や季節に合わせたギフト販売を展開してきたことも新規参入する要因となった。 今後は、自治体と連携し、エンタメ分野の強みを生かしたオリジナル返礼品を開発することで、現在の38自治体5000品目から、2025年度中に100自治体2万品目への拡充を目指す。
樋口隆充