トヨタが欧州でEV強化にアクセル、現地トップとスポーツカー責任者が明かした戦略
トヨタ自動車は、フォルクスワーゲンやBMW、ルノーといった名だたる自動車メーカーが主戦場とする欧州市場で電気自動車(EV)のラインアップを拡充し、販売強化にアクセルを踏み込んだ。欧州では2026年までにEVの新車販売比率を2割に高め、25万台以上を売る計画だ。 EV「日本取り残される」 タイ首相、訪日前に懸念 12日
トヨタはハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)など幅広い環境対応車をそろえた「マルチパスウェイ」戦略を打ち出している。しかし、EVの品ぞろえの乏しさから「環境意識が低い」と批判されることもあった。本格的な反転攻勢に打って出るトヨタのキーマン2人に話を聞いた。(共同通信ロンドン支局=宮毛篤史) ▽EVの欧州生産「しっかり考える」 トヨタモーターヨーロッパの中田佳宏社長兼最高経営責任者(CEO) ―補助金などの優遇策が各国で削減され、EVの需要の伸びが減速しているように見える。 「欧州のお客さまは日本や他の地域に比べて環境に対する意識が高く、EV化のスピードは速い。一方で足元では政府による(EV販売支援の)インセンティブをなくすといった瞬間に少しスローダウンするという兆候はある。ただ、僕はZEV(二酸化炭素などの排出ガスを出さない「ゼロエミッション車」)化のスピードが駄目になると思っているわけではない。ZEV化が進展するシナリオを描きながら、マルチパスのアプローチを考えて対応していくつもりです」
―マルチパスウェイの強みは。 「全ての電動化ソリューション技術を持っていて、お客さまにオファーができることです。カーボンニュートラルを達成するという責任を果たしていく中で、どういう道筋になるかを先に縛るのではなく、技術の可能性を広くして対応することがお客さまにとっていいことにつながる。プリウスが1997年に発売される前はHVがなかった。2050年が(温室効果ガス排出量を実質ゼロにする)カーボンニュートラルのターゲットとすると27年後なんです。新しい技術がまだまだ生まれる可能性が十分ある」 ―メーカー各社はEVの価格競争に苦しんでいる。トヨタはどうする。 「お客さまにとってどういう価格が一番お求めいただきやすいのかが一番大事であって、安ければいいという話ではないです。例えば100万円でEVが買えますよ、でも30キロしか走れませんよという車を欲しいですか。いらないですよね」 「最近の欧州メーカーは(価格を抑えた)2万5千ユーロ(約370万円)くらいのEVで、積むバッテリーの量を減らしたバージョンを造ろうとしている。こういうEVもお客さまのニーズはある。街中で乗るのでその分、買いやすい価格の方がいいというお客さまもいらっしゃる。そういうことは考えていくべきかなと思います」